些（読み）サ

デジタル大辞泉

さ【些】［漢字項目］

［人名用漢字］　［音］サ（慣）　［訓］いささか
わずか。いささか。「些些・些細・些事・些少」

さ【^×些】

すこしばかり。いささか。
「その主観には―の詐りをも感じられなかったとは言え」〈里見弴・安城家の兄弟〉

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

ち‐と【些】

〘副〙

① 量や程度がわずかであるさま、はなはだしくないさまを表わす語。すこし。わずか。いささか。ちょっと。ちくと。

※毎月抄（1219）「くせ題などをばちと詠み口なれて後、今はと覚えん時又よみならふべく候」

※徒然草（1331頃）二三六「この御社の獅子の立てられやう、定めてならひあることに侍らん、ちと承らばや」

② 時間の短いさまを表わす語。しばらく。すこしの間。ちょっと。

※発心集（1216頃か）五「脇息によりかかりて、ちとまどろみたる夢に」

ちっ‐と【些】

[1] 〘副〙 (「ちと（些）」の変化した語) 量や程度のわずかなさま。すこし。わずかに。いささか。

※道元大和尚仮名法語（1250）示僧俗因果事「昔の業がちっと残りたるを、ここの善によりて、かやうの事ともに、転じかへて」

※虎明本狂言・胸突（室町末‐近世初）「それでちっときがつひたが」

[2] 〘形動〙 量や程度のわずかであるさま。小さいさま。

※四河入海（１７Ｃ前）三「ちっとなる屋ぞ。されども更に広ても無用ぞ」

さ【些】

〘名〙 (多く「の」を伴って連体詞のように用いる) すこしばかり。いささか。わずか。

※義血侠血（1894）〈泉鏡花〉二六「謹慎なる聴衆を容れたる法廷は、室内の空気些(サ)も熱せずして」

※号外（1906）〈国木田独歩〉「差向へば、些(サ)の尊敬をするわけでもない」

出典　精選版 日本国語大辞典