井上雄彦(読み)イノウエタケヒコ

デジタル大辞泉 「井上雄彦」の意味・読み・例文・類語

いのうえ‐たけひこ〔ゐのうへ‐〕【井上雄彦】

[1967~ ]漫画家鹿児島の生まれ。本名成合なりあい雄彦。リアルなタッチでバスケットボールにかける高校生たちを描いた「SLAM DUNKスラムダンク」のヒットにより、若年層読者ブームを巻き起こす。他に、吉川英治小説宮本武蔵」を原作とした「バガボンド」、車椅子バスケットボールを扱った「リアル」など。

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知恵蔵 「井上雄彦」の解説

井上雄彦

マンガ家。1967年鹿児島県生まれ。88年「週刊少年ジャンプ」(集英社)にて「楓パープル」でデビュー。代表作に『SLAM DUNK』『バガボンド』『リアル』など。スポーツや戦いを通じた人間の成長を描くことが多く、ときに笑いも織り交ぜながら、鋭い視点で人間性にせまった作品を描く。ゲームキャラクターデザイン、バスケットボールプレーヤーを支援する「スラムダンク奨学金設立など、マンガ家の枠におさまらない活動もみせる。
90年から「週刊少年ジャンプ」で連載を始めた『SLAM DUNK』は絶大な人気を誇り、バスケットボールブームの火付け役ともなった。同作品は93年よりアニメ化、2004年には単行本の国内発行部数1億部を突破。これを記念して、全国紙6社で1面広告掲載などが行われた。さらに、イベント「1億冊ありがとうファイナル」を神奈川県の廃校で実施。『SLAM DUNK』最終話のその後を、黒板に描いてファンに披露した。98年には「モーニング」(講談社)で、宮本武蔵を題材にした『バガボンド』を連載開始。連載途中でペンを筆に変えるなど、表現方法にも工夫をみせる。同作品は2006年の時点で単行本の累計4千930万部に達した。08年、上野の森美術館で「井上雄彦 最後のマンガ展」を開催。約140点の描き下ろしイラストやマンガを展示。和紙に描いた作品やさまざまなサイズの作品を織り交ぜ、美術館全体を活用した展示を行い、画期的なマンガ展のあり方としても話題になった。
06年、若いバスケットボール選手を支援する「スラムダンク奨学金」を設立。奨学生をプレップスクールに派遣するもので、奨学金の原資には「SLAM DUNK」の印税の一部も含まれる。
受賞歴に、『SLAM DUNK』で第40回小学館漫画賞、09年文化庁の芸術選奨メディア芸術部門文部科学大臣新人賞、『バガボンド』で第6回手塚治虫文化賞マンガ大賞、『リアル』で第5回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞など。

(富岡亜紀子 ライター / 2009年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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