五代史(読み)ごだいし

精選版 日本国語大辞典 「五代史」の意味・読み・例文・類語

ごだいし【五代史】

[一] 中国正史。一五〇巻。宋の太宗の時、薛居正(せつきょせい)ら奉勅撰。開宝七年(九七四)成立。二十四史の一つ。実録や范質の「五代通録」に基づいて、後梁、後唐、後晉、後漢、後周の五代の歴史を記したもの。「新五代史」の刊行により散逸したが、乾隆四〇年(一七七五)永瑢(えいよう)らが復元した。旧五代史
[二] 中国の正史。七四巻。宋の欧陽脩撰。二十四史の一つ。史書、小説などの古書を資料として後梁の太宗から後周の恭帝までの歴史を記したもの。記述は「春秋左伝」にならった簡潔な文体で、君臣道徳、華夷思想などの個性的な史観がうかがわれる。新五代史。五代史記。

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デジタル大辞泉 「五代史」の意味・読み・例文・類語

ごだいし【五代史】

中国の二十四史の一。150巻。薛居正せつきょせいらが撰。974年成立。五代の歴史を記す。旧五代史。
中国の二十四史の一。75巻。宋の欧陽脩おうようしゅう撰。後梁の太宗から後周の恭帝までの歴史を記す。新五代史。五代史記。

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改訂新版 世界大百科事典 「五代史」の意味・わかりやすい解説

五代史 (ごだいし)
Wǔ dài shǐ

中国,後梁・後唐・後晋・後漢・後周の五代(907-960)の正史で,旧・新の2種がある。(1)《旧五代史》は150巻で,宋の薛居正(せつきよせい)ら奉勅撰。各王朝ごとに本紀と列伝があり,合計本紀61巻,列伝77巻,ほかに志12巻があり,南方の十国については僭偽列伝として叙述している。(2)《新五代史》はもともと《五代史記》と称し,74巻で宋の欧陽修撰。5王朝を通して書き,本紀12巻と列伝45巻,志にあたる考は3巻だけであるが,十国については十国世家と年譜を設けた。元来は私撰であったが死後に正史に加えられた。欧陽修は,五代における道義退廃をなげき,古文の文体で,〈春秋筆法〉に従い原史料を書き改めた。《旧五代史》はいつしか亡佚してしまい,現行本は《永楽大典》等から復元したものだが史料価値は高い。《新五代史》も〈義児伝〉〈伶官伝〉はこの時代の特徴を出しているとして評価されている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「五代史」の意味・わかりやすい解説

五代史
ごだいし
Wu-dai-shi; Wu-tai-shih

中国で,天祐4 (907) 年から建隆1 (960) 年までの間に興亡した五代の史書。『旧五代史』と『新五代史』とがあり,ともに正史。前者北宋の薛居正らの奉勅撰で 150巻。後者は『五代史記』ともいわれ,北宋の欧陽修の撰で 74巻。

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