二見(読み)ふたみ

精選版 日本国語大辞典 「二見」の意味・読み・例文・類語

ふたみ【二見】

[一] 三重県中部の地名伊勢市に北接し、伊勢湾に面する。古くから伊勢神宮に塩、贄(にえ)を奉納するための御厨(みくりや)であった。海岸二見浦と呼ばれる景勝地で、伊勢志摩国立公園の一部。〔二十巻本和名抄(934頃)〕
[二] 芭蕉の使用した文台。桐の一枚板で表に二見浦の絵を描き、裏に「うたがふなうしほの花も浦の春」の句を記す。のちに文台の一般的な呼び方となる。ふたみがた。
俳諧鶉衣(1727‐79)続「凡心なき惣内・杢兵が徒まで、家に一脚の二見なきは稀なり」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「二見」の意味・わかりやすい解説

二見
ふたみ

三重県中東部、度会郡(わたらいぐん)にあった旧町名(二見町(ちょう))。現在は伊勢(いせ)市北東部にあり、伊勢湾に臨む地域。旧二見町は、1908年(明治41)東二見、西二見の2村が合併、町制を施行して成立。2005年(平成17)小俣(おばた)町、御薗(みその)村とともに伊勢市に合併。JR参宮線(さんぐうせん)、国道42号、伊勢二見鳥羽(とば)ラインが通じる。『和名抄(わみょうしょう)』の二見郷の地。古代は伊勢神宮に塩を奉納した御厨(みくりや)で、現在も御塩殿(みしおでん)で古式にのっとった塩づくりが行われ、神宮に納められる。米作、イチゴやバラ栽培などの農業、小規模の漁業ノリ養殖などがある。海岸一帯は伊勢志摩国立公園域で二見浦(ふたみがうら)、夫婦(めおと)岩の景勝地がある。また、二見浦、池の浦の二つの海水浴場がある。大江寺(たいこうじ)の木造千手観音坐像(せんじゅかんのんざぞう)、明星寺の木造薬師如来(にょらい)坐像は国指定重要文化財。

[伊藤達雄]

『『二見文化誌』(1964・二見町)』『『二見町史』(1988・二見町)』


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「二見」の意味・わかりやすい解説

二見
ふたみ

三重県中東部,伊勢市北東部の旧町域。志摩半島の北部に位置し,伊勢湾に臨む。 1908年町制。 2005年伊勢市,小俣町,御薗村と合体して伊勢市となった。地名は古代の御厨名による。中心地区の二見は二見興玉神社門前町で,伊勢神宮に近く,の場として知られる白砂青松二見浦と,日の出の景勝として有名な夫婦岩により古くから知られ,参宮客の宿泊地として発展。観光収入が多い。今一色港は沿岸漁業港。近海漁業とノリ養殖が行なわれる。音無山 (120m) に太江寺 (国指定重要文化財の木造千手観音坐像所蔵) がある。全域が伊勢志摩国立公園に属する。

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改訂新版 世界大百科事典 「二見」の意味・わかりやすい解説

二見 (ふたみ)

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デジタル大辞泉プラス 「二見」の解説

二見

長崎県長崎市にある料亭。1933年創業。茂木港近くの海岸沿いに位置する。

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