二中間子論(読み)にちゅうかんしろん

百科事典マイペディア 「二中間子論」の意味・わかりやすい解説

二中間子論【にちゅうかんしろん】

1937年アンダーソンにより発見されたいわゆる中間子(実はμ(ミュー)粒子)の性質湯川秀樹の予言した核力を媒介する中間子と矛盾するため,坂田昌一谷川安孝,井上健は,両者別種後者前者より重く,後者が自然崩壊して前者にかわるという説をとなえた(1942年)。これを二中間子論といい,1947年パウエルらは宇宙線の中に2種類の中間子があること,その一つがπ(パイ)中間子であることを発見した。現在では,湯川の予言したものが,π中間子で,μ粒子は中間子の仲間でないことが明らかになっている。→素粒子
→関連項目坂田昌一

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「二中間子論」の意味・わかりやすい解説

二中間子論
にちゅうかんしろん

中間子論」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の二中間子論の言及

【素粒子】より

…当初はこの粒子が湯川の予言した中間子と考えられ,μ中間子と名付けられたが,湯川理論から予想される中間子の平均寿命約10-8秒から2桁も違い,また核子との相互作用も弱いなど矛盾する点が明らかにされた。そこでμ中間子とは別にもう1種類の中間子,π中間子の存在を考える二中間子論が坂田昌一,谷川安孝など(1946),少しおくれてR.E.マルシャク,H.A.ベーテ(1947)によって提出された。47年,C.F.パウエルらは宇宙線中に露出した原子核乾板を念入りに調べ,質量が電子の約260倍ほどで原子核と激しく反応する粒子が存在すること,またこの粒子がときとして質量が電子の200倍くらいの粒子と質量が0にきわめて近い粒子に崩壊することを見いだした。…

※「二中間子論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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