二中歴(読み)ニチュウレキ

デジタル大辞泉 「二中歴」の意味・読み・例文・類語

にちゅうれき【二中歴】

鎌倉時代百科事典。13巻。編者未詳。鎌倉末期の成立で、現存増補版は文安年間(1444~1449)ころの成立とされる。平安時代の「掌中歴」と「懐中歴」を再編集したもので、人名物名などを81項目にわたって列挙している。

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改訂新版 世界大百科事典 「二中歴」の意味・わかりやすい解説

二中歴 (にちゅうれき)

百科全書的な書物。平安時代末期に三善為康が編纂した百科全書《掌中歴》,および同類の《懐中歴》をもとに,《簾中抄》《函中抄》などを参照して編成された。書名は《掌中歴》《懐中歴》の2書を基礎に作られたことに由来する。内容は,事物を部門別に分類し,解説を加えたハンドブック的なもの。編者未詳。また成立年次も明らかでないが,鎌倉時代初期と推定される。今は伝わらない《懐中歴》や《掌中歴》の欠失部分の内容を推定できる注記が多く見られる。尊経閣文庫に鎌倉時代末期の写本13冊があり,その複製本も刊行されている。《改定史籍集覧所収
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「二中歴」の意味・わかりやすい解説

二中歴
にちゅうれき

13巻。平安末期の算博士(さんのはかせ)三善為康(みよしためやす)著『掌中歴』4巻と、同じく為康の作ともいわれる『懐中歴』10巻をあわせて鎌倉時代に改編し、現在の書名としたらしい。編者は不明。神代歴より十列歴に至る83の大項目の下に、何項ずつかの小項目を設けて名称を略記したもの。人代歴、年代歴など15世紀ごろまでの増補もあるが、平安時代のさまざまの事柄を知るに便利な書である。刊本に『史籍集覧』所収本がある。

[今江廣道]

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世界大百科事典(旧版)内の二中歴の言及

【和算】より

…寺社領や荘園の境界争いの記録に,当時の測量法の一端が見られる。鎌倉時代末期の百科事典《二中歴》に,〈三方陣〉と〈継子立〉が掲載されている。室町時代になると,数学遊戯に類する問題がよく行われた。…

※「二中歴」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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