事行(読み)じぎょう

精選版 日本国語大辞典 「事行」の意味・読み・例文・類語

じ‐ぎょう ‥ギャウ【事行】

〘名〙
① 平安時代以降、禁中守衛に当たった滝口武士地位名称一臈(ろう)・二臈・三臈を上臈といい、それに次ぐ四臈をいう。
職原鈔(1340)下「滝口〈略〉四臈号事行有官滝口永仁被始置一レ之」
② 具体的な行為として外に表わされたもの。たとえば口称題目
※日蓮遺文‐観心本尊抄(1273)「論理具事行南無妙法蓮華経五字並本門本尊未広行一レ之」 〔礼記楽記

こと‐ゆ・く【事行】

〘自カ四〙
① ことが滞りなく進行する。物事がうまくいく。ことがととのう。折合がつく。らちがあく。
源氏(1001‐14頃)絵合「筆の行くかぎりありて、心よりはことゆかずなむ、思ふ給へられしを」
② 訳がわかる。納得がゆく。
※竹取(9C末‐10C初)「かくつきなき事を仰せ給ふ事と、ことゆかぬ物ゆゑ、大納言をそしりあひたり」
[補注]②の「竹取物語」の例は、一説に①の意とする。

じ‐こう ‥カウ【事行】

〘名〙 (Tathandlung訳語) ドイツ哲学者フィヒテ用語自我の存在は、自己自身を定立するはたらきそのものに他ならない。この自己定立という行為があらゆる事実存在の根底にあって、そこでは行ないとなされた事とが一つになっている、というもの。

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普及版 字通 「事行」の読み・字形・画数・意味

【事行】じこう(かう)

業績。仕事。〔子、儒効〕そ事行、理には之れを立て、理になきは之れを廢す。夫(そ)れ是れを之れ中事と謂ふ。

字通「事」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の事行の言及

【滝口】より

…五位,六位の武勇ある侍のなかから,ことに弓術に秀でた者を補し,宮中の警衛にあたるほか,天皇の乗船に供奉し,また諸種の雑役にあたった。20名のうち勤務年数の長い者から一﨟(ろう),二﨟,三﨟の3人を上﨟(じようろう)といい,四﨟を事行(じぎよう)といった。上﨟は10日,四﨟以下は5日の勤務であった。…

【ドイツ観念論】より

…意識の中には事実よりも根源的なものがある。すなわち,事行Tathandlungである〉。実践的・能動的な自我に事実以上の根源性を見いだすことからフィヒテは出発した。…

※「事行」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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