事実の規範力(読み)じじつのきはんりょく(英語表記)normative Kraft des Faktischen

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「事実の規範力」の意味・わかりやすい解説

事実の規範力
じじつのきはんりょく
normative Kraft des Faktischen

事実的なものがもつ,みずからを規範に転化させる力。 G.イェリネックは,事実上慣行がその慣行のゆえに規範としての性格をもつにいたり,また,革命という事実が新しい法体制=規範秩序を生み出すのはなぜかという問題に対する解答として,一定の事実が反復されると,それを規範と認める心理が生じることを指摘し,これを事実的なものの規範力と呼んだ。

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世界大百科事典(旧版)内の事実の規範力の言及

【イェリネック】より

…主著には,《公権体系論》(1892),《人権宣言論》(1895),《一般国家学》(1900),《憲法変遷論》(1906)などがある。イェリネックは,その国家論において,国家を社会学的事実の側面と法学的・規範的な側面との双方からとらえるという〈両面説〉を唱え,さらに,法規範は事実的な力から発生するという〈事実の規範力〉の理論を展開するなどして,法の自己完結性のみを注視した従前のドイツ国法学に対して批判を加えた。また,国家の性格について彼は,国家は一つの社会団体として法をつくり出し,同時にその法によって拘束されて,法的な権利・義務をもつ法人となると主張した。…

※「事実の規範力」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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