亀山城下(読み)かめやまじようか

日本歴史地名大系 「亀山城下」の解説

亀山城下
かめやまじようか

大堰おおい川右岸の河岸段丘にある丘(亀山)を利用してつくられた平山城の亀山城を中心とする城下町。現亀岡市の市街地部にあたる。築城以前、当地は篠山街道(山陰道)と丹後道(京街道)の分岐点で交通の要衝であったらしく、城北に追分おいわけ村、城地の東に三宅みやけ村、西北に余部あまるべ村の古集落があり、中世末には荒塚あらつか城・古世こせ城・岡山おかやま(丸岡城)矢田やだ城など、地方土豪の拠点となっていた。

天正の初め、織田信長の丹波攻略で明智光秀が進攻し、ほぼ丹波を平定してこの地を拠点とするため、天正六―七年(一五七八―七九)頃荒塚村・古世村の地に荒塚城の城地を広め築城した。

亀山の地名由来について、寛政八年(一七九六)の丹東城塁記(永光家蔵)は、

<資料は省略されています>

と伝える。また西町にしまち大円だいえん寺薬師堂の薬師如来は、往古、天守の地亀山に安置されていたが、築城の際に追分村に、その後現在地に移され亀山薬師と称すると「桑下漫録」は伝えるので、天守の地亀山が地名の由来であるともいう。一説に、古代須恵器を焼いた窯跡がしの村の南山麓地帯に数多くあり、土器集散地としての甕山かめやまによるとの説もある。

〔城下の形成〕

天正一〇年、光秀が山崎やまざき(現乙訓郡大山崎町)の合戦で秀吉に討たれて後、亀山藩領は秀吉が支配し、豊臣秀勝小早川秀秋・前田玄以・北条氏勝・権田小三郎が城主あるいは代官として在城し、以後慶長一四年(一六〇九)岡部内膳正長盛が入部し在城一三年、松平将監成重一四年間、菅沼氏二代一四年間、松平(藤井)氏二代三七年間、久世氏一代一四年間、井上氏一代七年間、青山氏三代四七年間在城し、寛延二年(一七四九)から幕末まで松平(形原)氏が支配した。領域・石高は現亀岡市域内で二万八千石、現船井郡と氷上ひかみ(兵庫県)で約一万石、備中玉島たましま(現岡山県倉敷市)で一万二千石、合わせて五万石であった。

亀山城下
かめやまじようか

鈴鹿川北岸の台地上に、北は椋川むくがわ渓谷から屹立する天然の要害を利用して築かれた亀山城を中心とする城下町。北西山間部を除いた亀山市の中心市街地にあたる。中世初期以来、伊勢平氏の一統といわれる関実忠が若山わかやまに居城を構え、亀山城(丹陵城)と称していた。関盛忠の天文―弘治年間(一五三二―五八)には東海道や城下街の整備が進み、すでにかなりの集落ができていたと思われる。

天正一八年(一五九〇)岡本宗憲が若山にあった亀山旧城の東南の地を画し、その地にあった善導ぜんどう寺や民家を西にし町に移転させて新城を築いた。岡本氏(二万三千石)は本丸を中心に二ノ丸・東三ノ丸・西出丸・南三ノ丸など、亀山城の諸城郭の基礎をつくり、天守閣を築く一方で、内堀・外堀を整備して城郭を区分し、通路を配置したが、慶長五年(一六〇〇)関ヶ原の役で自刃、滅亡した。同年旧故の地に戻った関一政(五万石)は、幕令に従って伝馬を置き、ひがし町・西町からなる亀山宿を整え、亀山城下町はほぼその基礎が敷かれた。

その後亀山城主および藩領は、慶長一五年、松平(奥平)忠明(五万石)、元和元年(一六一五)四日市代官(水谷光勝)預地と津藩領、同五年、三宅康信(一万石、のち二千石加増)と受継がれていくが、この間、城の鎮守であった羽若はわか(元和元年津藩領に編入)八幡宮を城下むろに移すなど、亀山城下は幕藩体制の確立期に大きな変動を経ている。本多俊次が入部した寛永一三年(一六三六)、ようやく鈴鹿・三重・河曲かわわ三郡にまたがる八六ヵ村五万石の城邑が確定したのであるが、それ以後も城主の移動が度々繰返された。これは四日市と信楽しがらき(現滋賀県)両代官所と同様、鈴鹿峠を控えた東海道の要衝に位置する譜代藩の城主がもつ性格を反映すると思われる。

本多俊次は亀山入城の翌一四年七月二二日、領民に対して詳細な条目を発し、一一月二〇日には検地に関する条目(「九九五集」所収)を追加発令して領内諸村の内検地を行った。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の亀山城下の言及

【亀山[市]】より

…亀山城跡には天守台石垣や多聞櫓が,また城跡北西の野村には旧東海道の一里塚(史)が残っている。【成田 孝三】
[亀山城下]
 伊勢国の城下町,宿場町。亀山の名称は,丘陵神山がなまったとも,石亀を放った所であるためともいわれるが,歴史は13世紀,関実忠が同地に築城して亀山城と称したことに始まる。…

※「亀山城下」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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