乾・渇(読み)かわく

精選版 日本国語大辞典 「乾・渇」の意味・読み・例文・類語

かわ・く【乾・渇】

〘自カ五(四)〙
① (乾) 湿気水分が蒸発して無くなる。乾燥する。かわらぐ。
万葉(8C後)七・一一八六「漁(あさり)する海未通女(あまをとめ)らが袖とほり濡れにし衣干せど乾(かわか)ず」
源氏(1001‐14頃)若紫「初草の若葉の上を見つるより旅寝の袖も露そかはかぬ」
② (渇) 喉(のど)にうるおいがなくなり、水がのみたくなる。また、あるものが欠けていて、それが欲しくなる。
古本説話集(1130頃か)五七「のどのかはけば、水のませよ」
※俳諧・曠野(1689)八「かはくとき清水見付る山辺哉〈胡及〉」
③ (多く「乾いた」の形で形容詞的に) 考え方、表現のしかたが感傷的でない。
現代主題(1946)〈宮本百合子〉「これは一片の乾いた思弁であり」

かわき【乾・渇】

〘名〙 (動詞「かわく(乾)」の連用形の名詞化)
① (乾) 水分がなくなって乾燥すること。また、雨が降らずに日が照りつけること。
② (渇) のどや口に潤いがなくなり、水が飲みたくなること。
※虎明本狂言・抜殻(室町末‐近世初)「あれへいて水をのふで、のどのかはきをやめう」
③ (渇)(比喩的に) 心にうるおいがなく満たされない状態。また、肉欲など欲望のはげしいこと。
※雑俳・柳多留‐二二(1788)「よくよくのかわきばばあへ浅黄寄」
※海潮音(1905)〈上田敏訳〉真昼「心の渇(カワ)きいと切に」
病後のはげしい食欲。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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