乱反射
らんはんしゃ
入射した光が不規則な方向に反射すること。鏡面(平面)のように、表面上の任意の1点で光学的な反射の法則を用いて反射光の方向を定めれば、他の点での反射光は改めて計算しなくても自動的に決まるような場合を正反射という。これに対し、磨(すり)ガラスのように表面に複雑な凹凸がある場合や、乳白色ガラスのようにある程度、中まで光が拡散浸入してそこで反射されて表面に戻ってくる場合は、表面の向きには関係なく各点からそれぞれ不規則な反射光が生ずる。これを乱反射という。乱反射の実体は、局所的にみればそれぞれの点で幾何光学的な正反射が生じている場合と、波動光学的な回折、散乱現象までも考慮しなければいけない場合とがあり、個々の事例ごとに異なっているから注意を要する。
[石黒浩三・久我隆弘]
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乱反射
らんはんしゃ
irregular reflection
物体の表面がなめらかな面でないとき,その凹凸のために入射した光が,いろいろな方向に反射散乱される現象。平面のように見える面でも光の波長と同程度の尺度でみると乱雑な凹凸があるために,一方向から光を照射しても乱反射が起って,面上の各点が二次的光源になるので,どの角度からでもその面を見ることができる。
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乱反射【らんはんしゃ】
物体の表面に光の波長程度の小さな凹凸がたくさんあるとき,光がこれに当たってさまざまな方向に反射されること。いろいろな方向から目で物体を確認できるのは乱反射による。→反射
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らん‐はんしゃ【乱反射】
〘名〙 光が凹凸のある面でさまざまな方向に反射すること。⇔
正反射。
※春と修羅(1924)〈宮沢賢治〉春と修羅「青じろい骸骨星座のよあけがた 凍えた泥の乱反射をわたり」
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デジタル大辞泉
「乱反射」の意味・読み・例文・類語
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らんはんしゃ【乱反射 diffused reflection】
波が異なる媒質の境界面で反射するとき,境界面の凹凸が波長と同程度,あるいはそれより大きくなると反射波はいろいろな方向に広がる。これを乱反射あるいは拡散反射という。これに対して一定方向に反射波が生ずる場合を鏡面反射または正反射という。光が入射してから射出するまで何回も反射や屈折を繰り返すような塗料面の反射も乱反射の一種で,そのためいろいろな方向から目で物体を認識できる。反射光強度の分布が入射光の方向に依存せず,反射面を見込む立体角に比例するような場合,その反射面を完全拡散反射面と呼ぶ。
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世界大百科事典内の乱反射の言及
【反射】より
…波の波長に比べて境界面が滑らかであれば,反射の法則に従う方向に反射波が生じ,境界面の凹凸が波長と同じ程度であれば反射波はいろいろな方向に広がる。後者を乱反射といい,これに対して反射の法則に従う場合を鏡面反射という。 反射の法則には次の3項がある。…
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