乱(漢字)

普及版 字通 「乱(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 7画

(旧字)亂
13画

[字音] ラン・ロン
[字訓] おさめる・みだれる

[説文解字]
[その他]

[字形] 会意
旧字は亂に作り、(らん)+乙(いつ)。は糸かせの上下に手を加えている形で、もつれた糸、すなわち乱れる意。乙は骨べら。これでもつれを解くので、亂はおさめる意。「亂(をさ)む」とよむべき字である。〔説文十四下に「治むるなり。乙に從ふ。乙は之れを治むるなり」という。〔段注〕にその文を誤りとし、紊乱の字であるから「治まらざるなり」と改むべしとする。字形からいえば、が乱れる、亂が治める意の字。のち亂にの訓を加え、「乱る」「治む」の両義があり、反訓の字とする説を生じたが、一つの文字が、同時に正反の二訓をもつということはない。受に授受、行に去来の二義があるのは、行為者の立場をかえての訓であるから、矛盾的に両義を生ずるのではない。〔楚辞〕形式の作品に多くみえる「亂辭」は、紛乱を解く辞の意で、一結束とする。金文の〔牧(ぼくき)〕「廼(すなは)ち(みだ)るること多し」、また〔書、皋陶(かうえうぼ)〕「亂にして」は治政の才をいう。この・亂はそれぞれ字の本義の用法である。乱はのち多く紛乱の意に用いる。

[訓義]
1. おさめる。
2. みだれる、みだす。
3. まがう、まよう、なやむ。
4. くらい、あやまる、無道
5. 水をよこぎる。

[古辞書の訓]
名義抄〕亂 ミダル・ヲサム・タダス・ワタル・ミダリガハシ

[語系]
亂・luanは同声。亂は乱れた糸を骨べらで解く意で、は攴(ぼく)を加える意。〔説文〕三下に「は煩(わづら)はしきなり」とし、の亦声とする。

[熟語]
乱雲・乱河・乱階乱魁・乱乱攪・乱紀・乱気・乱逆乱虐・乱・乱曲・乱君・乱軍・乱群・乱劇・乱・乱原・乱源・乱国・乱獄乱昏・乱根・乱山・乱・乱辞・乱次・乱主・乱象・乱常乱臣・乱神・乱真乱心・乱人・乱酔乱世・乱・乱石・乱説・乱・乱・乱草・乱想・乱俗・乱賊・乱治乱帙・乱梯・乱・乱点・乱頭乱抖乱闘・乱道・乱入乱媒・乱悖・乱罰・乱髪・乱班・乱飛・乱舞・乱風・乱兵・乱峰・乱亡・乱邦・乱謀・乱亡・乱萌・乱本・乱麻・乱余・乱葉・乱離・乱吏・乱略・乱流・乱倫・乱惑
[下接語]
乱・胡乱・禍乱・壊乱・乱・潰乱・乱・霍乱・危乱・狂乱・徼乱・交乱・寇乱・攪乱・昏乱・混乱・錯乱・散乱・首乱・酒乱・乗乱・擾乱・衰乱・酔乱・靖乱・戦乱・僭乱・沮乱・争乱・喪乱・騒乱・雑乱・賊乱・大乱・治乱・動乱・内乱・悩乱・波乱・悖乱・敗乱・撥乱・反乱・乱・煩乱・紊乱・不乱・払乱・紛乱・兵乱・変乱・貿乱・迷乱・理乱・凌乱・撩乱・繚乱・零乱・惑乱

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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