九天(読み)きゅうてん

精選版 日本国語大辞典 「九天」の意味・読み・例文・類語

きゅう‐てん キウ‥【九天】

〘名〙
中国で、天を九つの方位に分けた称。いくつかの呼び方があるが、「淮南子」天文訓によれば、鈞天(中央)、蒼天(東方)、昊天(こうてん)西方)、炎天南方)、玄天(北方)、変天(東北方)、幽天(西北方)、朱天(西南方)、陽天(東南方)をいう。九野(きゅうや)。〔楚辞離騒
② 高い天。天上大空
※文華秀麗集(818)下・奉和翫春雪〈藤原冬嗣〉「翫春雪。春雪紛紛降九天」 〔司馬相如‐哀二世賦〕
宮中九重(ここのえ)
※新撰朗詠(12C前)下「五夜の漏声は暁の箭を催す。九天の春の色は仙桃に酔へり〈白居易〉」 〔王建‐宮詞〕
④ 九個の天球。すなわち大地を中心として回転すると考えられていた日天、月天、水星天、金星天、火星天、木星天、土星天、恒星天、宗動天をいう。くてん。
十善法語(1775)九「九天は空中にありて靉靆彌布す」

く‐てん【九天】

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デジタル大辞泉 「九天」の意味・読み・例文・類語

きゅう‐てん〔キウ‐〕【九天】

古代中国で、天を方角により九つに区分したもの。中央を鈞天きんてん、東方を蒼天そうてん、西方を昊天こうてん、南方を炎天、北方を玄天、東北方を変天、西北方を幽天、西南方を朱天、東南方を陽天という。
天の最も高い所。九重の天。⇔九地
「春琴を―の高さに持ち上げ百歩も二百歩もへりくだっていた」〈谷崎春琴抄
宮中。九重きゅうちょう。ここのえ。
大地を中心に回転する九つの天体。日天・月天・水星天・金星天・火星天・木星天・土星天・恒星天・宗動天をいう。くてん。

く‐てん【九天】

きゅうてん(九天)4」に同じ。

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普及版 字通 「九天」の読み・字形・画数・意味

【九天】きゆう(きう)てん

大空。清・康有為〔~副島種臣、中国の饌を設く~〕詩 富士たり、東の天 白頭一老に枕して眠る 我來つて岳をみ元氣を(くら)ふ 但だ見る、飛雲の九天に滿つるを

字通「九」の項目を見る

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占い用語集 「九天」の解説

九天

八神の一つ。父親剛健・公平などをあらわす吉神とされている。

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