九カ国条約(読み)きゅうかこくじょうやく

山川 日本史小辞典 改訂新版 「九カ国条約」の解説

九カ国条約
きゅうかこくじょうやく

ワシントン会議の場でとりきめられた中国問題に関する条約。1922年(大正11)アメリカイギリス,日本,フランスイタリアベルギーポルトガルオランダ,中国の9カ国が調印。アメリカの門戸開放政策を背景に,中国の主権領土尊重,中国における商工業上の機会均等勢力範囲の設定禁止などを確認したが,日本の満蒙権益のような既得権を対象外とし,また条約違反に対する制裁条項も欠いていた。同条約にもとづいて石井・ランシング協定も廃棄された。日本は満州事変以降,同条約違反を重ね,日中戦争後には同条約を事実上破棄した。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「九カ国条約」の解説

九カ国条約(きゅうかこくじょうやく)
Nine Power Treaty

1922年2月6日,ワシントン会議においてアメリカ,イギリス,日本,ベルギー,フランス,イタリア,オランダ,ポルトガルおよび中国の間で調印された中国に関する条約。中国の主権,独立ならびにその領土的および行政的保全の尊重,中国における門戸開放,機会均等などを約した。この条約はアメリカの外交的勝利といわれ,第一次世界大戦中に中国での勢力拡大をはかった日本の政策は,これによって後退させられることになった。

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旺文社日本史事典 三訂版 「九カ国条約」の解説

九カ国条約
きゅうかこくじょうやく

1922(大正11)年2月,ワシントン会議において,日本・イギリス・アメリカ・フランス・イタリア・ベルギー・オランダ・ポルトガル・中国の9カ国間で調印された中国に関する条約
中国の主権尊重・領土保全と門戸開放・機会均等を規定。日本全権は加藤友三郎。日本の大陸進出の抑止にねらいがあり,二十一カ条要求による特権の一部が除かれ,膠州湾を中国に返還石井‐ランシング協定も廃棄された。日中戦争開始により日本は実質的にこの条約を破棄した。

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