九(漢字)

普及版 字通 「九(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 2画

[字音] キュウ(キウ)・ク
[字訓] ここのつ

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 象形
竜蛇の形。竜蛇に虫形と九形とあり、九は岐頭の形でおそらく雌竜。虫と九と組み合わせた形は禹。九州の水土を治めたとされる神である。〔説文〕十四下に「陽の變なり。其の屈曲し、究盡するの形に象る」とする。七は陽の正、九は陽の変。ゆえに〔易〕の陽爻を初九・九二・上九のようにいう。数の九に用いる。

[訓義]
1. 竜の形、と関係がある。
2. ここのつ、究極の数。〔周易〕では陽数に用いる。
3. 糾と通じ、あわせる。
4. 久と通じ、老熟のもの。
5. ・鳩と通じ、あつまる。

[古辞書の訓]
名義抄〕九 ココノツ・ココノトコロ・キヨシ・アツマル 〔字鏡集〕九 マタ・ココノツ・クハシ・アツマル・ココノトコロ・チカシ・アマタ・キヨシ

[部首]
〔説文〕に馗を属し、「九なり。龜背に似たり。故に之れを馗と謂ふ。馗は高なり。九に從ひ、首に從ふ」と会意とする。字形によって解すると、もと竜の意であるらしく、虫(き)・(き)と関係のある語であろう。部首としては(じゆう)部の禽・(万)・禹などの七字、また旬も卜文の形は九に従う。みな竜を示す形である。

[声系]
〔説文〕に九声として・鳩・・旭・・究・仇・尻・軌・など十六字を収めるが、は会意。竜の屈曲する形を用いるもののほかはみな形声。鳩・はその鳴く声、(いびき)は鼾の声をいう。

[語系]
九kiu、gyu、(糾)・樛kyuは声近く、みな糾纏の意がある。声符としての九・・求・には、声義の通ずるものが多い。〔詩、周南、関雎〕の「好逑」は、また「好仇」に作る。

[熟語]
九夷・九域・九一・九烏・九九嬰・九淵・九歌・九花・九河・九家・九・九街・九九逵九畿・九軌・九旗九竅・九曲九衢・九刑・九献・九原・九五九皋・九合九穀・九・九死・九字・九寺・九日・九州・九春・九暑・九如・九九霄九壌・九親九仞・九成・九錫・九折・九泉・九・九層・九族・九達・九丹九疇九重・九鼎・九天・九塗・九土・九冬・九・九拝九伯九陌・九尾・九・九品九嬪九旻・九服・九弁・九命・九訳・九有九囿・九幽・九・九游・九曜・九・九洛・九流・九・九黎・九牢・九老九九
[下接語]
初九・天九・用九・陽九

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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