乗換・乗替(読み)のりかえ

精選版 日本国語大辞典 「乗換・乗替」の意味・読み・例文・類語

のり‐かえ ‥かへ【乗換・乗替】

〘名〙
① 乗りかえること。ある乗物からおりて他の乗物に乗ること。また、その場所。
唱歌鉄道唱歌(1900)〈大和田建樹〉東海道「横須賀行は乗換(ノリカヘ)と呼ばれておるる大船の」
※青年(1910‐11)〈森鴎外〉一八「帰りの切符を出して、上野広小路への乗換(ノリカヘ)を貰った」
③ (古くは「のりがえ」) 乗りかえるためにあらかじめ用意してある乗物。予備の乗物。主として馬にいう。
今昔(1120頃か)二五「乗替の馬などに乗て行緩(たゆみ)て有ければ」
※浮世草子・新可笑記(1688)二「此たひ乗替(ノリガヘ)引せねば」
④ (古くは「のりがえ」) 乗りかえるために用意した馬をあずかって乗る侍。
平家(13C前)四「しげどうの弓もて、煖廷(なんれう)うちのり、のりかへ一騎うちぐし」
※源平盛衰記(14C前)二七「親忠乗替(ノリガヘ)ばかり打具して」
⑤ 心を他の者にうつすこと。心変わり
浄瑠璃・津国女夫池(1721)千畳敷「まぶをきらるるのりかへの女郎の恨みの夜々を」
⑥ 取引市場で用いる語。
(イ) ある銘柄を売って他の銘柄を買うこと。
(ロ) 商品取引戦前株式清算取引で決済期の接近した建玉(たてぎょく)を手じまいして先物に切りかえること。
(ハ) 既発債券を新規の債券に換えること。

のり‐か・える ‥かへる【乗換・乗替】

〘自ア下一(ハ下一)〙 のりか・ふ 〘自ハ下二〙 (室町時代頃からヤ行にも活用した)
① 一つの乗物から降りて他の乗物に乗る。乗物をかえる。また、乗る場所をかえる。
※木工権頭為忠百首(1136頃)雪「くやしくももと見し駒に乗かへてこしちの雪にまとひぬる哉〈源頼政〉」
② ある人から離れて他の人と縁を結ぶ。心を他へ移す。
※歌舞伎・万歳丸(1694)一「はて女房なりとも持たうか。扨(さて)背中に腹を乗(ノ)り換(カ)へるぢゃ」
③ それまでの立場を捨て他のものにかわる。それまでの状況から離れて他にうつりかわる。
路上(1919)〈芥川龍之介〉一九「瀬戸内汽船は面白からうのと、春めいた旅の話へ乗(ノ)り換(カ)へてしまった」
④ 取引市場で、株式、債券などを他の株式、債券などに買いかえる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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