久留島武彦(読み)くるしまたけひこ

改訂新版 世界大百科事典 「久留島武彦」の意味・わかりやすい解説

久留島武彦 (くるしまたけひこ)
生没年:1874-1960(明治7-昭和35)

口演童話家。大分県森町に旧豊後国森藩主の長男として生まれた。関西学院に学び,日清戦争従軍中に書いた軍隊体験記《近衛新兵》を博文館の雑誌《少年世界》に投稿して巌谷小波に認められ,以後小波に兄事した。1903年日本最初の童話会を横浜の教会で開き,06年には〈お伽俱楽部〉を創設して,口演童話を中心とする児童文化運動を全国にひろめ,口演童話の大成者となった。10年に早蕨幼稚園を設立,幼児教育にも力を注いだ。《通俗雄弁術》(1916),《童話術講話》(1928),《童話久留島名話集》(1934)など多くの著書がある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「久留島武彦」の意味・わかりやすい解説

久留島武彦
くるしまたけひこ
(1874―1960)

児童文学者。大分県森町(現玖珠(くす)町)に生まれる。関西学院卒業。初め尾上新兵衛の名で『少年世界』(1895創刊)に児童読み物を執筆、のちに巌谷小波(いわやさざなみ)に師事してお伽噺(とぎばなし)創作、口演(こうえん)童話に活躍した。とりわけ口演童話に力を入れ、1906年(明治39)にはお伽倶楽部(くらぶ)をおこし、その礎(いしずえ)を築いた。また幼稚園の経営、ボーイスカウト結成に活躍。口演童話の開拓者としての業績をたたえ、郷里に童話碑が立てられている。主著に『童話術講話』(1973・日本青少年文化センター)がある。

[岡田純也]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「久留島武彦」の解説

久留島武彦 くるしま-たけひこ

1874-1960 明治-昭和時代の児童文学者。
明治7年6月19日生まれ。日清(にっしん)戦争に出征,体験記を「少年世界」に連載。巌谷小波(いわや-さざなみ)の協力で口演童話家となる。お伽(とぎ)倶楽部(クラブ),回字会などを設立し,口演童話の普及につくした。昭和35年6月27日死去。86歳。大分県出身。関西学院卒。著作に「童話術講話」など。

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