20世紀日本人名事典 「久保 栄」の解説
久保 栄
クボ サカエ
- 生年
- 明治33(1900)年12月28日
- 没年
- 昭和33(1958)年3月15日
- 出生地
- 北海道札幌市
- 学歴〔年〕
- 東京帝大独文科〔大正15年〕卒
- 主な受賞名〔年〕
- 透谷賞「三人の木憔の話」「悪魔と若き人麿」,小野宮吉戯曲平和賞〔昭和13年〕「火山灰地」
- 経歴
- 府立一中時代から「ホトトギス」などに短歌を投稿し、一高在学中の大正7年「三人の木樵の話」が透谷賞に応募当選した。東大在学中に翻訳した「ホオゼ」が上演されたのを機会に、卒業後、築地小劇場文芸部に入り、小山内薫に師事した。昭和4年新築地劇団に参加、5年第一戯曲「新説国姓爺合戦」を上演。同年日本プロレタリア演劇同盟(プロット)に加盟し、以後プロレタリア演劇の面で活躍し、8年「五稜郭血書」を発表。プロレタリアへの弾圧強化で、9年プロットを解散し、新協劇団を結成、藤村原作の「夜明け前」を演出、リアリズム演劇の再出発となる。12年代表作「火山灰地」を刊行、13年に小野宮吉戯曲平和賞を受賞、同年新協劇団で初演。15年同劇団強制解散、2度検挙される。戦後は20年東京芸術劇場を設立。その後、劇団民芸に参加。また戯曲「林檎園日記」「日本の気象」などを発表する一方、評伝「小山内薫」や小説「のぼり窯」を発表。戯曲、小説、戯曲論、翻訳などの作品のほか、演出家としても幅広く活躍した。「久保栄全集」(全12巻 三一書房)がある。
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報