串間(市)(読み)くしま

日本大百科全書(ニッポニカ) 「串間(市)」の意味・わかりやすい解説

串間(市)
くしま

宮崎県最南端、日南(にちなん)海岸に臨み、鹿児島県県境にある市。1954年(昭和29)福島町と大束(おおつか)村、本城(ほんじょう)村、市木(いちき)村、都井(とい)村の1町4村が合併して市制施行。中世は島津荘櫛間院(しまづのしょうくしまのいん)とよばれ、串間、福島はその当て字転訛(てんか)である。志布志湾(しぶしわん)に面するが、日南山地部が広く、平地は福島川や本城川に沿う沖積低地と、大束原(おおつかばる)などのシラス台地にみられるにすぎない。沖合いには築島(つきしま)(2022年の人口4)、幸島(こうじま)(猿(さる)島)、鳥島などがある。JR日南線、国道220号、448号が通る。近世高鍋藩(たかなべはん)の飛領地であった。おもな産業は農業で、サツマイモ、茶などの畑作物やハウス栽培のキュウリが代表的作物である。第二次世界大戦後の一時期樟脳(しょうのう)生産が本城地区で盛んであった。福島川河口の砂嘴(さし)上に立地する商・漁港今町(いままち)と国道に沿う仲町(なかまち)、上町(かみまち)が市街地を形成する。日南市に次ぐ県南の中心地であるが、市成立以来一貫して人口が減少しつつある。海岸部は日南海岸国定公園に含まれ、築島のビロウ樹原生林、石波(いしなみ)の海岸樹林、幸島のサル生息地、都井岬のソテツ自生地(国指定特別天然記念物)、岬馬(みさきうま)繁殖地(国指定天然記念物)、大矢取(おおやとり)のクス天然林、赤池渓谷など、亜熱帯植物や、動物にみるべきものが多い。宮崎市から遠いため、観光的にはまだ未開発の部分を残している。面積295.17平方キロメートル、人口1万6822(2020)。

[横山淳一]

『串間市社会科同好会編『わたくしたちの串間市』(1961・串間市)』


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