中追放(読み)ちゅうついほう

精選版 日本国語大辞典 「中追放」の意味・読み・例文・類語

ちゅう‐ついほう ‥ツイハウ【中追放】

〘名〙 江戸時代に行なわれた追放刑の一つ。寛保二年(一七四二)公事方御定書の規定では田畑家屋敷を取り上げ、武蔵山城摂津和泉大和肥前東海道筋・木曾路筋・下野・日光道中・甲斐駿河および犯罪を犯した国と住国にはいることを禁じた。延享二年(一七四五以後庶民については江戸十里四方と犯罪国と住国の出入を禁じるに止めた。
御触書宝暦集成‐三〇・宝暦六年(1756)一一月「相手理不尽之仕方にて不得止事切殺候者〈略〉吟味之上無紛候得は、中追放之御定に候」

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デジタル大辞泉 「中追放」の意味・読み・例文・類語

ちゅう‐ついほう〔‐ツイハウ〕【中追放】

江戸時代の追放刑の一。重追放軽追放中間のもの。罪人の田畑・家屋敷を没収し、犯罪地・住居地および武蔵山城摂津和泉いずみ大和肥前東海道筋・木曽路筋・下野しもつけ甲斐駿河に入ることを禁じ、または江戸10里四方外に追放したもの。

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世界大百科事典(旧版)内の中追放の言及

【追放】より

…戦国期にも追放刑が多用され,江戸時代に受け継がれて幕府法,藩法,その他旗本など領主法上の制度として定着した。 江戸幕府の《公事方御定書(くじかたおさだめがき)》は6段階の追放刑,すなわち重追放(おもきついほう),中(なかの)追放,軽(かるき)追放,江戸十里四方追放,江戸払(えどばらい),所払(ところばらい)を掲げ,各刑について御構場所(おかまいばしよ)(立入禁止の地域)を定めている。重追放は武蔵,相模,上野,下野,安房,上総,下総,常陸,山城,摂津,和泉,大和,肥前,東海道筋,木曾路筋,甲斐,駿河を,中追放は武蔵,山城,摂津,和泉,大和,肥前,東海道筋,木曾路筋,下野,日光道中,甲斐,駿河を,軽追放は江戸10里四方,京,大坂,東海道筋,日光,日光道中を,それぞれ住居の国および犯行の国とあわせ御構場所とする。…

※「中追放」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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