中継貿易(読み)なかつぎぼうえき(英語表記)intermediary trade 英語

精選版 日本国語大辞典 「中継貿易」の意味・読み・例文・類語

なかつぎ‐ぼうえき【中継貿易】

〘名〙 輸入した貨物を、そのまま、あるいは多少加工をして再輸出する貿易通過貿易。中間貿易。ちゅうけいぼうえき。

ちゅうけい‐ぼうえき【中継貿易】

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デジタル大辞泉 「中継貿易」の意味・読み・例文・類語

ちゅうけい‐ぼうえき【中継貿易】

なかつぎぼうえき

なかつぎ‐ぼうえき【中継(ぎ)貿易】

輸入した貨物をそのまま、あるいは加工して再輸出する貿易の形態。ちゅうけいぼうえき。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「中継貿易」の意味・わかりやすい解説

中継貿易
なかつぎぼうえき
intermediary trade 英語
entrepôt trade フランス語

貿易貨物が輸出国から輸入国へ直送されず、第三国にいったん陸揚げされ、そこで原形のままあるいは加工を施したのち、本来の輸入国に向けて再輸出される取引をいう。これは、輸出国から輸入国へ直接に輸送するのが政治的に困難であったり、または第三国を経由させたほうが関税が安くなるなどの理由からおこる。中継貿易では、第三国は輸出国に対しては買い手、輸入国に対しては売り手となり、二つの取引の売買契約当事者となる。この点が通過貿易と異なる。また、通過貿易は積み出しに際し輸入地が決まっているが、中継貿易の場合には、最終輸入地が決まらずに蔵置き、加工がなされる場合もある。中継貿易によって第三国には売買差益が入るほか、加工料、運賃、保険料、その他のサービス収入が入る。また、中継貿易は貿易振興や外貨獲得の重要な手段となるため、各種の免税措置を設けて積極的に奨励している国や地域もある。中継貿易港の条件としては、関税のかからない自由港であること、多くの商品が集散する国際的な交通の要所にあること、外貨取引も簡単にできること、などがあげられる。代表的な中継貿易港には香港(ホンコン)やシンガポールがある。なお、中継貿易に似たものに仲介貿易があるが、これは第三国の貿易業者が売買契約当事者とはなるものの、貨物は第三国を経由せず輸出国から輸入国へ直送される。

[秋山憲治]

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百科事典マイペディア 「中継貿易」の意味・わかりやすい解説

中継貿易【ちゅうけいぼうえき】

輸入した貨物を一定期間内に原形のままで,または保税地域で加工・製造して不特定国へ再輸出する方式の貿易。中間貿易とも。これにより諸種手数料や加工賃を得る。一般にかつては輸出入関税や通過税で制限されていたが,現在では保税制度などで免税とされる。
→関連項目通過貿易南蛮船保税倉庫琉球琉球貿易

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「中継貿易」の意味・わかりやすい解説

中継貿易
なかつぎぼうえき
entrepôt trade

輸入した物資を一時保管したのち,あるいは若干の加工を施したのち再輸出する貿易。中継地で加工する場合は,中継加工貿易という。大洋航路との接点のような交通の要地に位置する国や,政治的理由などで当事国相互の直接貿易が困難な場合の第三国で中継貿易が成立する。オランダベルギーなどは前者の,対中国貿易の接点ホンコンは後者の例であった。中継貿易国は倉庫料,保険料,手数料,運賃,加工賃などの利益を得る。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「中継貿易」の解説

中継貿易
なかつぎぼうえき

貿易形態の一つ。自国の商品を他国Aにそのまま輸出するのではなく,別の他国Bからの輸入品の輸出を主とする。A国とB国の貿易の中継により利益をえた。琉球王国の中継貿易が著名で,王国発展の基礎になった。東南アジア諸国から胡椒(こしょう)・蘇木(そぼく)・象牙などを輸入し,それを明・朝鮮・日本への輸出品としたり,日本から輸入した刀剣・武具・扇子を明に献上するなどした。

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