中橋(読み)なかばし

精選版 日本国語大辞典 「中橋」の意味・読み・例文・類語

なか‐ばし【中橋】

[1]
[一] 明暦年間(一六五五‐五八)以前にあったといわれる、江戸の日本橋と京橋の中間にかけられていた橋。また、その付近の地域。寛永元年(一六二四)この橋詰で猿若勘三郎座が興行し、江戸歌舞伎発祥の地と伝えられる。現在の中央区日本橋三丁目と京橋一丁目との境で中央通りと八重洲通りが交差するあたり。
※浮世草子・日本永代蔵(1688)四「其時分銀拾ひてや、手馴し珠数屋をやめて、中橋(なかハシ)に刀・脇指の棚出して」
[二] 貞享年間(一六八四‐八八)、大坂道頓堀川にかかる日本橋と太左衛門橋との間にかけた橋。相合橋とも呼んだ。
浄瑠璃心中重井筒(1707)中「月ははや、渡初して、なかばしや、六軒町の小夜格子唐の聖の曰く」
[2] ((一)(一)が地名だけで橋がないところから) 「無いさま」をしゃれていった語。
※談義本・根無草(1763‐69)前「もはや我々が智恵も中橋(なかばし)なれば」

なかはし【中橋】

(「なかばし」とも) 姓氏一つ

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の中橋の言及

【女歌舞伎】より

…なかで,遊女屋が経営する歌舞伎の座を遊女歌舞伎と呼ぶ。京では六条三筋(みすじ)町の遊女屋が四条河原で,江戸では吉原の開設当初は吉原の中に,のちには中橋でそれぞれ舞台を設け,男装したスター級の遊女である太夫(和尚とも呼んだ)の歌や踊りを中心に競って歌舞伎を興行した。お国歌舞伎との第一の違いは,当時最新の楽器である三味線をスターが弾いていることで,50~60人もの遊女を舞台へ登場させ,虎や豹の毛皮を使うなど,いっそう豪奢な舞台ぶりに,数万人もの見物を集めたという。…

※「中橋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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