歌舞伎(かぶき)俳優。屋号は代々京屋(きょうや)。
(1806―1871)幕末の上方(かみがた)で活躍した敵(かたき)役・親仁(おやじ)方の名優。芸達者で、『妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)』の大判事、『仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)』の本蔵などが当り役。
[服部幸雄]
(1841―1895)大阪の人。初世の門弟2世中村芝雀(しばじゃく)が1875年(明治8)に2世を継いだ。立役(たちやく)、敵役、女方(おんながた)を兼ね、上方歌舞伎界の重鎮と仰がれた。
[服部幸雄]
(1875―1927)大阪生まれ。嵐璃笑(あらしりしょう)の子で、2世の養子。4世芝雀となったのち1917年(大正6)に3世を襲名。美貌(びぼう)で、近代の典型的女方と称されて人気があった。時代物の「赤姫」や娘役を得意にした。大阪中座に出演中急死。
[服部幸雄]
(1920―2012)本名青木清治(きよはる)。6世大谷友右衛門(ともえもん)の長男。初名大谷広太郎。1948年(昭和23)に7世大谷友右衛門を襲名したのち、1964年9月、4世を襲名した。近代感覚の女方として活躍した。1991年(平成3)重要無形文化財保持者(人間国宝)の認定を受け、1992年芸術院会員、2001年文化功労者となる。2004年文化勲章受章。長男が8世大谷友右衛門(1949― )、次男が7世中村芝雀(1955― )である。
[服部幸雄]
『岩田アキラ写真『すずめ百まで・雀右衛門写真集』(1987・京都書院)』▽『4世中村雀右衛門著『女形無限』(1998・白水社)』▽『渡辺保著『名女形・雀右衛門』(2006・新潮社)』
歌舞伎俳優。4世まである。(1)初世(1806-71・文化3-明治4) 大坂の生れ。4世中村歌右衛門の弟子中村儀左衛門が,1851年(嘉永4)11月中の芝居で雀右衛門を名のる。敵役を中心に,66年(慶応2)には実悪の大上上吉まで進んだ。実悪と親仁方を得意とし,《妹背山》の大判事,《矢口渡》の頓兵衛などが当り役。(2)2世(1841-95・天保12-明治28) 本名中島保兵衛。初世の弟子で,芝之助,芝雀を経て1875年3月雀右衛門を襲名。立役,敵役,女方を兼ねた。(3)3世(1875-1927・明治8-昭和2) 本名中島笑太郎。嵐璃笑の子で,2世の養子。中村笑太郎,芝雀を経て,女方専門で人気を得,1917年雀右衛門を襲名した。(4)4世(1920-2012・大正9-平成24)本名青木清治。6世大谷友右衛門の子。大谷広太郎,7世大谷友右衛門から64年雀右衛門を襲名。女方で,所作事をよくし,《妹背山》のお三輪など時代物に秀でている。
執筆者:向井 芳樹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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