朝日日本歴史人物事典 「中村雀右衛門(3代)」の解説
中村雀右衛門(3代)
生年:明治8.1.20(1875)
明治大正期の歌舞伎役者。俳名梅都。屋号京屋。大阪新町生まれ。本名中島笑太郎。実父は嵐璃笑。嵐笑太郎で5歳の初舞台を踏む。子供芝居を経て18歳のとき2代目雀右衛門の養子となり,2代目中村芝雀と改名。明治25(1892)年東京春木座に出演後女形専門となり,おいおい昇進して,大正6(1917)年大阪浪花座で「蘆屋道満大内鑑」の葛の葉役を演じて雀右衛門を襲名した。研究熱心で,その人形身をとり入れた姿のきまりかたなど独特の色気があり,東西で人気は高かった。大阪中座の舞台で畢生の当たり役「本蔵下屋敷」の三千歳姫を演じつつ倒れ,そのまま不帰の客となり,名女形らしい最期と語り草になった。
(青木繁)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報