中村武志(読み)なかむらたけし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「中村武志」の意味・わかりやすい解説

中村武志
なかむらたけし
(1909―1992)

小説家随筆家。長野県生まれ。1932年(昭和7)法政大学高等師範部を卒業。1926年(大正15)鉄道省(のちの日本国有鉄道:国鉄)東京鉄道局に入社し、1946年(昭和21)社内報『国鉄』創刊の編集責任者になる。そのかたわら内田百閒(ひゃっけん)に師事し小説を執筆。サラリーマンと作家の二足の草鞋(わらじ)を履きながら、1953年『目白三平の生活と意見』を発表して注目される。1955年『目白三平物語』を発表、目白三平シリーズが都会のサラリーマンの共感をよんだ。1964年定年退職して文筆生活に入る。1972年『目白三平の列島改造批判』、1977年『目白三平イチャモン帖』、1982年『百鬼園先生故郷へ帰る』などを発表。1966年東京間借人協会長、1969年全国サラリーマン同盟代表委員を務めて社会活動を行う。1972年衆議院議員総選挙に立候補して落選著書に目白三平もののほか、『ふだん着のパリ』など。平成4年12月11日没。

[編集部]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「中村武志」の解説

中村武志 なかむら-たけし

1909-1992 昭和後期-平成時代の小説家。
明治42年1月15日生まれ。東京鉄道局(旧国鉄)にはいり社内報「国鉄」を編集するかたわら,内田百閒(ひゃっけん)に師事する。みずからのサラリーマン生活をえがいた目白三平シリーズで人気をあつめた。昭和39年の退職後,東京間借人協会会長。平成4年12月11日死去。83歳。長野県出身。法大高等師範部卒。作品に「男の立場」など。

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世界大百科事典(旧版)内の中村武志の言及

【三等重役】より

…52年東宝で映画化。またこの小説のユーモアは中村武志(1909‐92)の目白三平物に受け継がれ,アイロニーは深められて山口瞳(1926‐95)の江分利満氏物へと展開する。《三等重役》は,戦前のユーモア小説の流れをくみながら,戦後の給与所得層の生活と心情を描いたサラリーマン小説の原点にあたる。…

※「中村武志」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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