中村星湖(読み)なかむらせいこ

百科事典マイペディア 「中村星湖」の意味・わかりやすい解説

中村星湖【なかむらせいこ】

小説家,評論家本名将為(まさため)。山梨県生れ。中学時代から文芸雑誌に投稿し,坪内逍遥らに知られた。1907年《少年行》が《早稲田文学》に一等当選出世作となる。この年早稲田大学英文科を卒業,《早稲田文学》の記者となり,島村抱月門下として自然主義を鼓吹した。田山花袋の〈平面描写〉によりながらも,人間愛を失わない点が特色。《半生》《星湖集》等の短編集があるほか,《ボバリー夫人》等の翻訳がある。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「中村星湖」の意味・わかりやすい解説

中村星湖
なかむらせいこ
(1884―1974)

小説家。本名将為(まさため)。山梨県生まれ。早稲田(わせだ)大学英文科卒業。1907年(明治40)早大在学中、『少年行』が『早稲田文学』の懸賞募集に入選して認められ、卒業後『早稲田文学』の記者となり、自然主義系統の作家として大正末ごろまで小説、評論、翻訳を発表した。その後農民芸術に関心を寄せたり、教壇に立ったりしたが、45年(昭和20)郷里に引きこもり、以後晴耕雨読の生活を送った。作品集に『半生』(1908)、『星湖集』(1910)、『漂泊(ひょうはく)』(1913)などがあり、翻訳には『ボヷリー夫人』(1916)などがある。

[畑 実]

『『明治文学全集72 中村星湖他集』(1969・筑摩書房)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「中村星湖」の意味・わかりやすい解説

中村星湖
なかむらせいこ

[生]1884.2.21. 山梨,河口
[没]1974.4.13. 東京
小説家,翻訳家。本名,将為。別号,銀漢子。 1907年早稲田大学英文科卒業。同年『少年行』が『早稲田文学』の懸賞小説に1等当選して文壇進出文芸時評を執筆するかたわら,すぐれた短編を書き,『半生』 (1908) ,『星湖集』 (10) ,『漂泊』 (13) ,『失はれた指輪』 (19) などを残した。ほかにモーパッサンの翻訳もある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「中村星湖」の解説

中村星湖 なかむら-せいこ

1884-1974 明治-昭和時代の小説家。
明治17年2月11日生まれ。40年「少年行」が「早稲田文学」の懸賞小説に当選。同誌の記者となり,自然主義文学の作品,評論を発表する。戦後,山梨学院短大教授。昭和49年4月13日死去。90歳。山梨県出身。早大卒。本名は将為(まさため)。短編集に「星湖集」「女のなか」,訳書にフロベール「ボバリー夫人」など。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android