中子・中心(読み)なかご

精選版 日本国語大辞典 「中子・中心」の意味・読み・例文・類語

なか‐ご【中子・中心】

〘名〙
① 物の中央部。中心。しん。〔観智院本名義抄(1241)〕
※途上(1932)〈嘉村礒多〉「火鉢の炭火で炊いた行平中子のできた飯を」
② (堂の中央に安置するところから) 斎宮(さいぐう)の忌詞(いみことば)で、仏をいう。
書紀(720)欽明一三年一〇月(北野本訓)「釈迦の仏(ナカコ)の金銅像一躯」
③ 瓜類の種のある肉の部分。また、柑橘類の肉の部分。
※白氏文集天永四年点(1113)三「杜若心(ナカコ)を抽(ぬ)きいで長し」
※浮世草子・貧人太平記(1688)中「瓜のなかご数百荷」
④ 転じて、物の中にあるもの。中身。
読本・椿説弓張月(1807‐11)後「瓢(ひさご)に中子(ナカゴ)を入れて、一方には毒ある酒を蔵(おさ)め」
⑤ 刀剣の柄(つか)の中にはいる部分。目釘の穴や、銘のある部分。
※大内問答(1509)「中心(なかご)きりたる刀、又無銘の太刀
⑥ 鏃(やじり)篦被(のかずき)より内側の篦中にはいる部分。
※太平記(14C後)一五「筈本迄中子(ナカゴ)を打徹(とほ)しにして」
⑦ 入子(いれこ)作りになっているものの中のもの。重箱飯盒などの容器の中にはめこんである小さいうつわ。
※笹まくら(1966)〈丸谷才一〉四「飯盒の中子(ナカゴ)に」
⑧ 葦の茎の中の柔らかい紙のような皮。
空洞鋳物を作る時、空洞となる部分に入れる鋳型

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android