中分(読み)ちゅうぶん

精選版 日本国語大辞典 「中分」の意味・読み・例文・類語

ちゅう‐ぶん【中分】

〘名〙
① (━する) 真二つにわけること。半分にわけること。また、そのわけたもの。
令義解(718)雑「凡於官地宿蔵物者。皆入得人。於他人私地得。与地主中分之」 〔史記‐高祖本紀〕
② どちらにもかたよらない、両者中間。同等であること。
※ぎやどぺかどる(1599)下「恐るべき所を恐れ、吹くるほどの風に靡かざる事、是又専要なり。此中分を弁へ行ふ事、誠に勝れたる賢慮なり」
③ (━する) 人々が和解するために、中間をとって妥協しあうこと。また、その方法で第三者が仲裁をすること。また、その仲裁をする人。特に鎌倉・室町時代には、所領争いの際に係争物を二分して当事者双方に与える「折中の法」が普及して、訴訟の解決法としてこの方法が多くとられた。
吾妻鏡‐元久二年(1205)三月二五日「今日被分之、以六郷別当分、割六郷供僧中
狂言記禁野(1700)「こなた中分(チウブン)に入って、刀わきざし、衣裳も皆はぎとり」
中等の程度。中ぐらい。
※玉塵抄(1563)二二「医者からのみくうことがすぎたをきらわるるぞなにごとも中分ながよいぞ」

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デジタル大辞泉 「中分」の意味・読み・例文・類語

ちゅう‐ぶん【中分】

半分に分けること。
「今日より後は天下を―して」〈太平記・二八〉
五分五分に扱うこと。対等に見ること。
「工藤左衛門祐経と、匹夫下郎本多と、―の扱ひとはお恨めしい」〈浄・会稽山
間をとって妥協しあうこと。また、仲裁すること。
「身どもは弓矢で射殺さうと申さう。こなた―に入って…往なしませう」〈続狂言記・禁野〉
中くらい。なかほど。
「―より下の渡世をするものなり」〈浮・胸算用・五〉

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普及版 字通 「中分」の読み・字形・画数・意味

【中分】ちゆうぶん

半分にわける。〔史記、項羽紀〕項王乃ちし、天下を中す。

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