世羅(町)(読み)せら

日本大百科全書(ニッポニカ) 「世羅(町)」の意味・わかりやすい解説

世羅(町)
せら

広島県中東部、世羅郡の町。1955年(昭和30)大見(おおみ)、西大田(にしおおた)、東大田の3村が合併して成立、1956年津久志(つくし)村を編入。2004年(平成16)世羅郡の甲山町(こうざんちょう)、世羅西町と合併。中国山地の世羅台地上にあり、南部を芦田(あしだ)川が蛇行しながら流れる。JR福塩(ふくえん)線、国道184号、432号が通じ、三原(みはら)、尾道(おのみち)両市からバスで約1時間の距離にある。平安時代には高野山(こうやさん)領大田荘(おおたのしょう)があり、龍華(りゅうげ)寺(今高野)の門前町として、また出雲(いずも)への街道の宿駅として栄えた。米作中心の農業地帯で、果樹・野菜栽培、施設園芸も盛ん。国営・県営農地開発事業による世羅台地の開拓で広域営農団地が造成され、また幸水ナシの栽培が行われ、特産品となっている。その他の特産としてマツタケ経木(きょうぎ)帽子がある。山林面積が多く、林業畜産も盛んである。龍華寺の十一面観音立像(2躯)、文裁寺の十一面観音立像と聖観音立像、丹生(たんじょう)神社の木造獅子頭(ししがしら)は国指定重要文化財。堀越(ほりこし)の万福寺跡(県の史跡)には南北朝時代の石造七重塔が残存する。上津田の稲荷(いなり)神社の「神殿入の神事(こうどなりのしんじ)」は県指定無形民俗文化財。面積278.14平方キロメートル、人口1万5125(2020)。

[北川建次]


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