普及版 字通 「且(漢字)」の読み・字形・画数・意味
且
常用漢字 5画
[字訓] まないた・せんぞ・かつ
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 象形
俎(そ)の初形。まないた。俎は且上にもののある形。〔説文〕十四上に「(すす)むるなり」とあり、几(き)(机)の形であるとする。且は卜文に祖の意に用いる。且に物をのせ薦めて、祀る意であろう。金文に祖考を「考」に作り、且を奉ずる形に作る。郭沫若は且を男根の象と解するが、奇僻にすぎる。祖に宜(そんぎ)するを宜といい、宜もまた且に従う。
[訓義]
1. まないた、祭るとき供える俎の形。
2. まつられるもの、遠い祖先。且に徂往の意がある。
3. 語詞として用いる、かつ、さても、もし、たとい、その上、ふたたび、それとも、しばらく、かりそめ、まさに、いま。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕且 シバラク・カツハ・カツカツ・マタ・マツ・ミナ・シバシバ・タタス・ヤスム・アタハカリ・カクバカリ・ナムナムトス/只且 カクバカリ 〔字鏡集〕且 カクバカリ・シバシバ・カツハ・ムナシ・ユク・ミナ・コロヲモ・ヤスム・マツ・シバラク・カツカツ・マタ・シヅカナリ・アタハカリ・ナンナントス
[部首]
〔説文〕に俎など二字、〔玉〕に・の二字を加える。は形声。また(び)字中の且はおそらく台座の形。宜・俎は且の意をもつ字である。
[声系]
〔説文〕に且声として(祖)・・・詛・・租・粗・・組・助など三十五字を収める。(しよ)は履(くつ)の中に布く草の形。且声の字に敷くもののほか、徂往・粗の意をもつものがある。助は(すき)と力(岐頭のすき)とを合わせた形である。
[語系]
且・・tziaは同声。は履の中に布くもの。は茅。その上に供えるものをおく祭である。俎tzhiaは礼俎。供えものをおく祭几。dzyakも声が近い。は牲体を(し)くもの、はその動詞形とみてよい語である。
[熟語]
且夫▶・且使▶・且字▶・且是▶・且然▶・且▶・且当▶・且道▶
[下接語]
姑且・且・只且・次且・予且・聊且
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報