不飽和結合定量法(読み)フホウワケツゴウテイリョウホウ

化学辞典 第2版 「不飽和結合定量法」の解説

不飽和結合定量法
フホウワケツゴウテイリョウホウ
quantitative analysis of unsaturated combination

有機化合物中の炭素間の二重結合または三重結合の定量法.不飽和結合はσ結合とπ結合よりなり,π結合は不安定で,水素ハロゲン付加反応して飽和化合物になる.不飽和結合の定量にはこの付加反応が実際に用いられる.
(1)水素化法:有機溶媒酸化白金またはパラジウム炭素など,水素の活性化吸着を行う触媒を懸濁させ,水素と接触させながら試料を還元すると,二重結合は1 mol,三重結合には2 mol の水素が付加し,水素が消費される.この反応は密閉器内で行い,水素の体積の減少をガスビューレットまたは検圧器で測定し,不飽和結合を算出する.
(2)ハロゲン化法:不飽和結合に対するハロゲンの付加,たとえばエチレンの臭素化では,二重結合がブロモニウムイオンと錯イオンを形成し,さらに臭素イオンと結合して飽和化合物を生成する.ハロゲンの反応性を比較すると,塩素,臭素,ヨウ素の順で塩素がもっとも速いが,測定操作の容易な臭素化が通常用いられる.臭素化には臭化カリウム-臭素酸カリウム溶液を用い,過剰の臭素をチオ硫酸ナトリウム標準液で滴定して定量する.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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