不良債権処理(アジアの)(読み)ふりょうさいけんしょり/あじあのふりょうさいけんしょり(英語表記)management of non‐performing loan

知恵蔵 の解説

不良債権処理(アジアの)

通貨危機の際、東アジア各国では深刻な不良債権問題が生じた。銀行部門の総貸出残高に対する不良債権の比率は、タイ8.2%(2006年6月末)、フィリピン7.4%(同5月末)、インドネシア8.8%(同5月末)、マレーシア5.4%(同7月末)、韓国1.2%(同3月末)となっている。資産管理会社(AMC:asset management company)への売却等により処理は進んだが、国によってその度合いは違う。タイやマレーシアなどでは、会計基準上、返済猶予・金利減免などを合意した貸付債権正常債権として認識されるため、金融機関が引当負担の軽減を図るために、融資条件の緩和に安易に応じる傾向があるともいわれる。債権放棄・売却といった根本的な処理が必要であるが、この点、韓国資産管理公社が、直接回収競売の他、資産担保証券(ABS)発行を手がけたのが注目される。

(絹川直良 国際通貨研究所経済調査部長 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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