デジタル大辞泉
「不束」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
ふつつか【不束】
〘形動〙
① 太く丈夫なさま。
※宇津保(970‐999頃)蔵開上「ふつつかにこえ給つるが」
② 太くいやしげなさま。下品でぶかっこうなさま。不細工なさま。
※
蜻蛉(974頃)中「この大夫のさもふつつかにみゆるかな」
※浮世草子・傾城色三味線(1701)
大坂「むまれつきふつつかなる上に、近い比楊梅瘡の出た跡一めんにくへて」
③ 風情がないさま。無風流なさま。無骨なさま。
※仮名草子・浮世物語(1665頃)三「礼義をもしらず、よろづふつつかなる
緩怠をいたし」
④ (「ふつづか」とも) 心が至らないさま。ゆきとどかないさま。不調法なさま。
※
徒然草(1331頃)五「不幸に愁にしづめる人の、かしらおろしなどふつつかに思ひとりたるにはあらで」
※
坑夫(1908)〈
夏目漱石〉「自分は〈略〉、不束
(フツツカ)ながら今日迄生きてゐる」
⑤ 江戸時代、吟味筋(刑事裁判)の
審理が終わり、
被疑者に出させる犯罪事実を認める旨の吟味詰
(つま)りの口書の
末尾の詰文言の一つ。叱り、急度叱り、
手鎖、
過料などの軽い刑に当たる罪の場合には「不束之旨吟味受、可申立様無御座候」のように詰めた。
※聞訟秘鑑‐一口書詰文言之事(
古事類苑・法律部三一)「御叱り、急度御叱り、手鎖、過料等に可
レ成と見込之分は、不束或は
不埒と認」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報