下辺(読み)しもべ

精選版 日本国語大辞典 「下辺」の意味・読み・例文・類語

しも‐べ【下辺】

〘名〙 (上代は「しもへ」) しもの方。川の下流の方。⇔上辺(かみべ)
万葉(8C後)六・九二〇「上辺には 千鳥屡(しば)鳴く 下辺(しもへ)には 蛙(かはづ)妻呼ぶ」

しも‐わたり【下辺】

〘名〙 京都下京のあたり。昔、上京にくらべて下京は人家がまばらで人目すくなくさびしかった。
※栄花(1028‐92頃)布引の滝「伊予守の家、しもわたりなる所なり」

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デジタル大辞泉 「下辺」の意味・読み・例文・類語

しも‐べ【下辺】

《古くは「しもへ」》しもの方。特に、川の下流の辺り。⇔上辺かみべ
上辺かみへには千鳥しば鳴く―にはかはづつま呼ぶ」〈・九二〇〉

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普及版 字通 「下辺」の読み・字形・画数・意味

【下辺】かへん

底辺

字通「下」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の下辺の言及

【京都[市]】より

…市街地の偏在化が進んだために,このころになると本来の朱雀大路が西朱雀路と呼ばれる一方,東京極大路に東朱雀大路,鴨川(原)に朱雀河(原)の呼称が生まれている。また市域も二条大路を境に,上辺(かみわたり)・下辺(しもわたり)と呼ばれたが,これは中世では上京下京という呼称にかわる。また条坊制の四行八門の制による地点表示法が崩れはじめ,道路を基準とする表示法,たとえば〈油小路西,六角通北〉といったいい方が11世紀の後葉に登場したのも留意されるところで,これは人為的な都市が生活に即した形に変容しはじめたことを物語っている。…

【平安京】より

…このころになると,東河といわれた鴨川の東,白河の地に市街地が形成され,〈京・白河〉の称が生まれる一方,鴨川(原)を朱雀川(原),東京極路(とくに二条以北)を東朱雀路と呼ぶこともあった。他方,市街地の北と南の区別が二条通(大内裏南辺の東西路)を境にしてなされ,上辺(かみわたり),下辺(しもわたり)の称も生まれた。のちの上京,下京である。…

※「下辺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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