下男・下女(読み)げなんげじょ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「下男・下女」の意味・わかりやすい解説

下男・下女
げなんげじょ

江戸時代、一定の年限を決めて主家に住み込み奉公する者のこと。この時代の奉公形式ではもっとも一般的であり、当初この奉公人を下人(げにん)とよんだが、江戸時代後期になると、この呼び名は廃れ、下男・下女とよばれた。徳川幕府は、人身の永代売買は禁止したが、年季を限定しての人身売買形式は問題としなかった。奉公先に対しては保証人をたてて、年決め契約で雇われるのが普通である。男は薪(まき)割り、走り使いなどの雑用に従事し、女は飯炊き、水仕事などの下働きをした。江戸に出る下女は相模(さがみ)、安房(あわ)あたりからくるが、産物に乏しく困窮農家の多い相州厚木地方の者がもっとも多く、「相模下女」とよばれた。またこの奉公形式の名残(なごり)は明治時代以後まで残った。

稲垣史生

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android