下女(読み)げじょ

精選版 日本国語大辞典 「下女」の意味・読み・例文・類語

げ‐じょ ‥ヂョ【下女】

〘名〙
身分低い女。下賤の女。しもおんな
※袋草紙(1157‐59頃)上「上洛之時山崎辺において、下女の臼歌に唱之」
太平記(14C後)五「内より怪しげなる下女(ゲジョ)一人出合ひ」
雑用に使われる召使いの女。下働きの女。はしため。下婢。しもおんな。〔文明本節用集(室町中)〕
※天草本伊曾保(1593)鶏と下女の事「アル イエノ アルジ ニニンノ guegiouo(ゲヂョヲ) ツカワレタガ」
武士に仕え、家事を手伝い、主人の身の回りの世話をした女。女中。下女衆。
※浄瑠璃・堀川波鼓(1706頃か)上「ここかしこに這隠(はいかく)れ下女がふしたる夜着(よぎ)の内」
④ 淫売女。女郎
御仕置例類集‐古類集・一・寛政一三年(1801)御渡「彼地え被差遣候御家人等、下女無之候ては、格別差支之訳も有之候はば」

しも‐おんな ‥をんな【下女】

〘名〙
① 位の低い女官。下臈(げろう)
※枕(10C終)四七「しも女の際(きは)は、さばかりうらやましきものはなし」
② (貴族から見て)身分の低い、庶民の女。下賤の女。
③ 雑用に使われる召使の女。女の召使。下女(げじょ)。女中。婢(ひ)
※国町の沙汰(1674)「年久しくめしつかひし、いちやとなんいふしも女をよび」

しも‐め【下女】

〘名〙
※能因本枕(10C終)一〇〇「受領などの家に、しもめなどの来て、なめげに物いひ」
下京に住む女。
※天正本狂言・女楽阿彌(室町末‐近世初)「宿と中なをり、もろともにたづねんとて、下めの本へ行」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「下女」の意味・読み・例文・類語

げ‐じょ〔‐ヂヨ〕【下女】

雑事に召し使う女。女中。下婢かひ。⇔下男
身分の低い女。
「内より怪しげなる―一人出で合ひ」〈太平記・五〉
[類語]下働き下男召し使い奴隷奴婢どひ男衆下僕忠僕老僕爺や飯炊き権助風呂焚き三助女子衆下婢端女はしため小間使い

しも‐おんな〔‐をんな〕【下女】

召使いの女。げじょ。しもおなご。
身分の低い女官。下﨟げろう
「―のきはは、さばかりうらやましきものはなし」〈・四七〉

しも‐おなご〔‐をなご〕【下女】

しもおんな1」に同じ。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の下女の言及

【下人】より

…しかし一方では譜代の下人が依然として残存し,江戸時代に入っても辺境の農山村を初め,庄屋,名主(なぬし)の下で駆使され続けた下人が少なくない。ただ一般的傾向としてはしだいに解放されて年季奉公人化し,それにつれて下人という呼称もすたれ,江戸末期には下男,下女と呼ばれるようになった。明治時代以降この下男,下女は,資本主義経済の下で賃金労働者としての性格をもつようになるが,人身売買のなごりは明治以後もなお根強く残存した。…

【奉公人】より

…1842年(天保13)ころに実際に支払われていた1ヵ年の給金は,足軽は金3両より6両くらいまで,中間は金2両2分より3両くらいまで,六尺は金6両2分より12,13両くらいまで,おなじく日雇銭は,徒士は銭272文より300文,足軽は銭148文より224文,六尺は銀2匁5分くらいより10匁くらいまでであった。【北原 章男】
【農村奉公人】
 近世農村の奉公人は一般に譜代,下人,下男,下女などと呼ばれていた。その雇用関係の内容は時期により,また地方により多種多様であるが,身分関係,契約形式,労働対価支払方式,雇用期間などをメルクマールにして譜代下人,質券奉公人,居消(いげし)奉公人(押切奉公人,居腐(いぐされ)奉公人),年季奉公人(年切奉公人),出替奉公人(一季奉公人),日割(ひわり)奉公人,季節雇,日雇などの諸類型に区分される。…

※「下女」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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