下命(読み)かめい

精選版 日本国語大辞典 「下命」の意味・読み・例文・類語

か‐めい【下命】

〘名〙
命令をくだすこと。いいつけ。
山月記(1942)〈中島敦〉「歯牙にもかけなかった其の連中の下命を拝さねばならぬことが」
② 命令の尊敬語。おおせつけ。「御」をつけて用いることが多い。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「下命」の意味・読み・例文・類語

か‐めい【下命】

[名](スル)
命令を下すこと。また、その命令。言いつけ。「下命を拝する」
注文を受ける側から、商品仕事などの注文。「御下命ありしだい手配致します」
[類語]命令言い付けめいれい指令指示指図さしず号令発令沙汰さた主命君命上意達し威令厳令厳命

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「下命」の意味・わかりやすい解説

下命 (かめい)
Befehl[ドイツ]

広義では,公の機関が人民に対して一定の事項(作為給付受忍または不作為)を命ずること。このうち不作為を命ずるものをとくに〈禁止〉と呼ぶ。下命は,立法作用たる下命(例,納税義務法定,銃砲刀剣類所持の一般的禁止),司法作用たる下命(例,民事判決による金銭支払の命令,刑事判決による刑の言渡し)および行政作用たる下命に区別することができる。行政法学上の概念としての狭義の下命は,行政作用たる下命,すなわち〈行政庁がある具体的な場合において人民に対し一定の事項を命ずる行為〉をいい,行政法学にいう〈行政行為〉の性質をもつ。たとえば消防法上の建物改修命令(作為下命),納税の告知(給付下命),健康診断の受診命令(受忍下命),営業停止の命令(不作為下命すなわち禁止)などがその例である。行政庁が下命をなしうるためには原則として法律または条例の根拠が必要である。下命は相手方を法的に拘束する点で,単なる勧告その他のいわゆる〈行政指導〉と区別される。下命に従わない者については,強制執行または何らかの制裁(刑罰その他)を加える旨が定められていることが多い。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「下命」の意味・わかりやすい解説

下命
かめい

行政庁が,私人に対し一方的に作為,不作為,給付,受忍の義務を発生させる行政行為。このうち不作為の義務を発生させる下命を特に禁止という。下命は事実行為についてなされる場合と法律行為についてなされる場合とがあるが,後者の場合でも事実としてあることをなすこと,またはしてはならないことを命じるだけで,直接,法律行為の効力を制限したり,否定したりすることを目的とするものではないから,禁止に違反する法律行為であってもそのことのみにより,ただちに無効とはならない。義務の不履行に対してはその義務の性格に応じて,行政上の強制執行によって強制したり罰則を適用したりする。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の下命の言及

【行政行為】より


[行政行為の内容と効果]
 以上の意味において,行政行為とは行政庁の種々の行為を包括する抽象概念であるが,具体的にみると,行政行為の内容としては次のようなものがありうる。(1)〈下命〉および〈禁止〉 人に一定の行動(作為,不作為,給付,受忍)を命ずることを下命,そのうちとくに不作為を命ずることを禁止という。行政行為による下命,禁止の例として,道路交通法に基づく違法駐車車両の移動命令,道路標識による通行禁止等がある。…

※「下命」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android