下司職(読み)げししき

精選版 日本国語大辞典 「下司職」の意味・読み・例文・類語

げし‐しき【下司職】

〘名〙
地位の低い官吏。
② 平安末期から中世にかけて、荘園現地荘務をつかさどる地位。また、その職務がもつ給田付加税の徴収権などの得分権。
朝野群載‐七・康和五年(1103)二月一〇日・右大臣家符「右人補任下司職、可行庄務之状、所仰如件」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の下司職の言及

【下司】より

…このような下司の史料上の初見は,長徳2年(996)10月3日の伊福部利光治田処分状案(《光明寺文書》)に,〈甲賀御荘下司出雲介〉とあるものであるが,この史料はやや孤立した存在で,下司が頻出するのは,公文,田所などと同じく11世紀後半以降である。〈下司職〉の初見は,元永1年(1118)11月20日,大中臣則平を美濃国大井荘下司職に補任した三善某下文(《東南院文書》)である。下司は本所によって補任ないし相続安堵されるが,開発(在地)領主がその所領を寄進して下司となるものと,本所が選任して派遣するものとがある。…

【職】より

…その場合,郡司の地位は相伝の権利・財産化して譲与の対象ともされていることから見て,職は官職であるとともに私財的性格を色濃く備えていることがわかる。さらに11世紀から12世紀にかけて荘園公領制が展開すると,荘園では本家職,領家職,預所職,下司職など,公領でも郷司職,保司職などのようにひろく職の称をもって,領主的諸階層の地位・権利を表すようになった。この場合も,それらの職は,荘園公領支配の体制上の地位・職務であるとともに,それが一面ではその職の保有者の私的財産的性格を備えて譲与の対象とされており,さきの郡司職の場合と共通の性質を備えている。…

※「下司職」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android