上田帯刀(読み)うえだ・たてわき

朝日日本歴史人物事典 「上田帯刀」の解説

上田帯刀

没年:文久3.5.2(1863.6.17)
生年:文化6(1809)
幕末の洋式兵学者,国学者。尾張(名古屋)藩士。諱を仲敏。字は金十郎。頼母,帯刀と称し,菊廼家,黄花園と号した。国学を本居大平に学び,和歌をよくした。海防に関心を抱き,蘭学者田口俊平が尾張藩に招聘されるや彼に就いて蘭学を修め,洋式砲術を研究した。また藩許を得て自宅内に西洋学館と称する私塾を設け,藩士たちに洋式砲術の教授をする。嘉永・安政の間(1848~60)には知多半島の防備に用いる大砲鋳造や沿岸砲台築造を指揮するなど,尾張藩の洋式兵学導入に指導的役割を果たした。<著作>『西洋砲術便覧』『訳名字類』

(所荘吉)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「上田帯刀」の解説

上田帯刀 うえだ-たてわき

1809-1863 江戸時代後期の蘭学者。
文化6年生まれ。尾張(おわり)名古屋藩士。吉雄俊蔵にまなぶ。海防の必要性を説き,伊藤圭介らとはかり自邸に私塾洋学堂を設立。大砲をつくり,知多半島に砲台をきずいた。本居大平(もとおり-おおひら)門下の国学者,歌人としても知られた。文久3年5月2日死去。55歳。名は仲敏。著作に「西洋砲術便覧初編」など。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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