上海宝鋼集団公司(読み)しゃんはいほうこうしゅうだんこんす

日本大百科全書(ニッポニカ) 「上海宝鋼集団公司」の意味・わかりやすい解説

上海宝鋼集団公司
しゃんはいほうこうしゅうだんこんす

中国鉄鋼業界における大手企業集団。2005年に社名を変更して宝鋼集団有限公司となった。

 上海宝鋼集団公司は、上海市の宝山区に本拠を置き、1998年、国務院(日本の内閣にあたる)の認可で創設された持株会社。上海宝山製鉄所を中心として上海冶金控股(やきんこうこ)(集団)公司、上海梅山(集団)有限公司を傘下に収め、鉄鋼、原料、自動車製造、設計、施工、機械、運輸、設備、家電、科学研究、金融、貿易など15の業種にまたがる企業集団として成立した。設立時の資金は45億8000万元、総資産70億4660万元であった。1988年に設立された宝鋼集団が前身であるが、この宝鋼集団は法人格をもたず、製鉄所の設備は事業会社として中核をなしていた宝山鋼鉄(集団)公司に帰属していたのに対して、1998年に新たに成立したのは持株会社であり事業会社でもある事業組織、すなわち法人格と製鉄所の設備を有するものであった。同公司は国務院より持株会社のあり方に関するモデルケースに指定されていた。

 上海宝山製鉄所の建設は1978年に開始された。中国初の臨海・消費立地型の最新製鉄所として、中国技術進口総公司と新日本製鉄株式会社(新日鉄。現、日本製鉄)との間で1978年4月に調印された議定書に基づき、新日鉄の君津大分(おおいた)、八幡(やはた)製鉄所をモデルに粗鋼年産670万トン規模の一貫製鉄所として計画された。工期は2期に分けられた。1979年2月に勃発(ぼっぱつ)した中越戦争などを背景とする財政難から政府の批准が得られず、契約遂行が危ぶまれる事態にも直面したが、第1期工事は1985年、第2期工事は1991年に終了し、その後第3期工事も着工された。

 1997年末の傘下3社の総資産は1345億元、利潤は29億元、納税額は56億元。3社の固定資産は業界の20%であり、利潤額は1993年以降鉄鋼企業中第1位を占め、1994年には全中国企業中1位にもなるなど、中国経済で重要な位置を占めていた。

 上海宝鋼集団公司は、2005年に宝鋼集団有限公司(英語表記はBaosteel Group Corp.)と社名変更した。2008年の売上高は2468億3900万元、総利益238億1300万元、総資産は3524億9700万元。従業員数は10万8914人。2008年の粗鋼生産は3540万トンで、アルセロール・ミッタル、新日本製鉄に次ぐ世界第3位となった。また、中国鉄鋼業界でいち早くISO14001(環境に配慮した企業を認定する国際規格)認証を獲得している。

[上川孝夫]

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