上口(読み)あがりぐち

精選版 日本国語大辞典 「上口」の意味・読み・例文・類語

あがり‐ぐち【上口】

〘名〙 (「あがりくち」とも)
土間から座敷などに上がる所。また、上がったばかりの場所。家の入り口
※天理本狂言・胸突(室町末‐近世初)「いまのあがり口でわたいて、しかも書物があるは」
階段、山などの登り口。
※改正増補和英語林集成(1886)「ニカイノ agariguchi(アガリグチ)
③ 風呂場の出口
※二百十日(1906)〈夏目漱石〉二「風呂場を出ると、ひやりと吹く秋風が〈略〉上がり口に白芙蓉が五六輪、夕暮の秋を淋しく咲いて居る」
④ 事業などがうまくいかないで落ち目になること。〔東京語辞典(1917)〕

うえ‐くち うへ‥【上口】

〘名〙
貴顕の人。上つ方
上杉家文書‐(永祿八年)(1565)六月一六日・朝倉景連書状「此度御働至遅々者、向後上口之御行、無曲可罷成候」
上段の間。貴顕の人々が出入りするところ。また、上手(かみて)のほうの戸口
※とはずがたり(14C前)一「如法夜ふかしとて、うへくちにたたずむ」

うわ‐ぐち うは‥【上口】

〘名〙 (「うわくち」とも)
① 口の上側部分。⇔下口(したぐち)
御触書寛保集成‐四八・貞享五年(1688)八月「面体色浅黒く、ひたいひらき、ほうすき、おとかひほそく、口少うは口かかり」
② 馬の口の轡(くつわ)が触れる上側の部分。〔運歩色葉(1548)〕

かみ‐ぐち【上口】

〘名〙 京阪地方で使われるその土地言葉上方言葉。上方弁。他所口(よそぐち)東京弁をさすこともある。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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