三諦(読み)さんたい

精選版 日本国語大辞典 「三諦」の意味・読み・例文・類語

さん‐たい【三諦】

〘名〙 (「さんだい」とも) 仏語。空・仮・中の三つ真理諸法、あらゆるものについて、みな空無と観ずる空諦、みな仮有(けう)と観ずる仮諦、有でも空でもないと観ずる中諦の三つをいう。天台宗ではこれを法華経にも説かれるとして、発展させた。
性霊集‐二(835頃)沙門勝道歴山水瑩玄珠碑「桎枷四民之生事。調飢三諦之滅業
曾我物語(南北朝頃)一二天台には、法報王の三身空仮中の三たひなりと釈しましまし候」 〔仁王般若経‐二諦品〕

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デジタル大辞泉 「三諦」の意味・読み・例文・類語

さん‐だい【三諦】

《「さんたい」とも》仏語。天台宗で、実相の真理を明かすものとして考えられた空・・中の三つの真理。すべての存在は空無なものであるとする空諦、すべての事象因縁によって存在する仮のものとする仮諦けたい、すべての存在は空でも有でもなく言葉思慮対象を超えたものであるとする中諦。空仮中。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「三諦」の意味・わかりやすい解説

三諦
さんだい

中国天台宗で唱えられた説。空,仮,中の三諦のこと。諦とはサンスクリット語 satya訳語で「真理」という意味。空諦とはあらゆる物事にはおよそ実体というようなものはないという真理。仮諦とは,すべての存在はいろいろな構成条件によって成立しているから,存在するといってもかりの存在であるという真理。中諦とは,あらゆる存在は空や仮で一面的に考えられるべきものではなく,真理は言葉では言い表わせないということ。

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世界大百科事典(旧版)内の三諦の言及

【山王神道】より

…しかし大山咋神は元来比叡山の地主神(じぬしがみ)であったので天台宗徒は宗派の守護神と仰ぎ,唐の天台山の守神たる地主山王に擬し,この神を山王と称し天台神道の主神とした。 山王神道の中心思想は山王の2字を天台宗の三諦円融観をもって説明するもので,三諦とは仮諦・空諦・中諦を指す。仮諦とは万法妙有,空諦とは諸法真空,中諦とは諸法実相非有非空を指し,円融観からすれば三諦は一つである(三諦即一)と説かれる。…

【諸法実相】より

…諸法実相は大乗仏教の根本思想として重視されるが,そのとらえ方には発展が見られる。三論宗では空(くう)の理を諸法実相であるとし,天台宗では空・仮(け)・中(ちゆう)の三諦(さんたい)(真理を示す三様の論理)を統一した中道第一義諦(ちゆうどうだいいちぎたい)の理と理解し,禅宗では〈柳は緑,花は紅〉といい,本来の面目が諸法実相を表すとする。【渡辺 宝陽】。…

※「三諦」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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