三角州堆積物(読み)さんかくすたいせきぶつ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「三角州堆積物」の意味・わかりやすい解説

三角州堆積物
さんかくすたいせきぶつ

河口の三角州で形成される堆積物をいう。斜交層理を示す砂岩層や泥岩層・礫(れき)岩層などで特徴づけられる。三角州(デルタ)は地形用語としては海面上の部分のみをさし、三角州堆積物は海面下の堆積物を含めた全体をいう。三角州堆積物は、河川によって運ばれてきた大量の砕屑(さいせつ)物が、波や潮流で運び去られないときに形成される。大規模な三角州では、厚い堆積物のために、アイソスタシー地殻下方にたわむことが知られている。

 三角州堆積物は、頂置層、前置層、底置層の3層に分けられる。頂置層は海水面付近の傾斜の緩い地層であり、前置層は頂置層の前縁に、ある程度海洋側に傾斜して堆積する地層である。底置層は前置層のさらに海側に緩い傾斜で堆積する地層である。砕屑物がさらに供給されると、底置層の堆積した上に前置層が、前置層の堆積した上に頂置層が堆積し、三角州での主要な堆積場が海側に向かって前進する。三角州によってはこれら3層が明瞭(めいりょう)に区別されない場合がある。また、河川が湖に流入した所でも三角州が形成される。

[村田明広]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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