三明(読み)さんみょう

精選版 日本国語大辞典 「三明」の意味・読み・例文・類語

さん‐みょう ‥ミャウ【三明】

〘名〙 (「明」は智の意) 仏語。仏・阿羅漢(あらかん)が備えている三つ智慧。すなわち、過去の事を明らかに知る宿命明、未来の事に通達する生死天眼)明、現在の事を明らかにして煩悩を断ずる漏尽(ろじんみょう)をいう。三明智。
経国集(827)一四・和海和尚秋日観神泉苑之作〈滋野貞主〉「三明湿照龍池閣、二道薫迎秋蕙楼」
※三代実録‐貞観三年(861)三月一四日「先資七廟。滌想三明。恬神八解」 〔雑阿含経‐三一

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デジタル大辞泉 「三明」の意味・読み・例文・類語

さん‐みょう〔‐ミヤウ〕【三明】

仏語。仏がそなえる三つの智慧。自他過去世のあり方を自由に知る宿命明、自他の未来世のあり方を自由に知る天眼てんげん明、煩悩ぼんのうを断って迷いのない境地に至る漏尽明。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「三明」の意味・わかりやすい解説

三明
さんめい / サンミン

中国、福建(ふっけん)省中部の地級市。閩江(びんこう)の南の源流である沙渓(さけい)の中流域に位置する。2016年時点で、2市轄区、尤渓(ゆうけい)県など9県を管轄し、永安(えいあん)市の管轄代行を行う。人口284万(2014)。1958年以後、周辺地域の地下資源開発の進展に伴って工業が発展し、重化学工業都市となった。1960年に市制施行。鷹厦(ようか)線(鷹潭(ようたん)―厦門(アモイ))が通じ交通の便がよい。建設中の南三竜線(南平(なんへい)―三明―竜岩(りゅうがん))、吉永泉線(吉安(きつあん)―永安―泉州(せんしゅう))も同市を通る予定である。福建省の鉄鋼業の中心地で、ほかに火力発電、合成アンモニア、化学肥料セメント、ガラス、建材、電子、紡織などの工業が立地する。農業は水稲作のほか柑橘(かんきつ)類の栽培が盛ん。周辺山地は山林に覆われ、森林被覆率は60%を超えている。とくにタケノコの生産で有名。

[青木千枝子・河野通博・編集部 2017年3月21日]

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改訂新版 世界大百科事典 「三明」の意味・わかりやすい解説

三明 (さんめい)
Sān míng

中国,福建省の中部西寄り,閩江(びんこう)の南の源流である沙渓の中流域にある新興工業都市。人口34万(2000)。1960年,三明県のうち,もとの三元県の市街区を分離して市が設置された。永安市と9県を管轄する。鷹厦鉄道(鷹潭~厦門(アモイ))の中心点にあり,省内および江西省,さらに浙贛(せつかん)鉄道(杭州~株洲)を通じて国内各地と結ばれる交通上の利点と,石炭,鉄鉱石,マンガンなど鉱産資源が豊富なことから,1958年より中規模の製鉄所の建設が始まり,三明製鉄所は省内第一の規模を持つ。主要な工業は紡績,化学,機械で,化学肥料の生産は省の首位にある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「三明」の意味・わかりやすい解説

三明
さんみょう
tisso-vijjā

仏教用語。3種の神通力の意。智慧の働きをいう。 (1) 宿命 (しゅくみょう) 明。自己と他人の生れる以前の過去世の状態を知る智慧の働き。 (2) 天眼 (てんげん) 明。自己や他人の未来世の状態を知る智慧の働き。 (3) 漏尽 (ろじん) 明。漏,すなわち煩悩を断じて真理を明らかに知る智慧の働き。

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