三才(読み)サンサイ

デジタル大辞泉 「三才」の意味・読み・例文・類語

さん‐さい【三才】

世界を形成するものとしての天・地・人の称。三元三儀三極
宇宙存在する万物総称。「和漢三才図会ずえ
人相学で、その重点になるひたい・あご・鼻。1に擬した言い方。

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精選版 日本国語大辞典 「三才」の意味・読み・例文・類語

さん‐さい【三才】

〘名〙
① 天と地と人とをいう。三極。三儀。三元。
懐風藻(751)侍宴大友皇子〉「三才並泰昌、万国表臣義
※わらんべ草(1660)一「一幕物見の寸、上三寸は、天、地、人の三才、下五寸は五行也」 〔易経‐繋辞下〕
② 宇宙間に存在する万物の総称。「三才図会(ずえ)
③ 人相学で、額とあごと鼻とをいう。顔面を宇宙に擬し、額を天、あごを地、鼻を人にたとえたもの。

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普及版 字通 「三才」の読み・字形・画数・意味

【三才】さんさい

天地人。才は材。〔易、説卦伝〕天のを立てて陰と陽と曰ふ。地のを立てて柔と剛と曰ふ。人のを立てて仁と義と曰ふ。三才をねて之れを兩にす。故に易は六畫にして卦(くわ)をす。

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改訂新版 世界大百科事典 「三才」の意味・わかりやすい解説

三才 (さんさい)
sān cái

中国古代において世界を説明しようとして考えた,天・地・人の三つの働きをいう。三材ともいう。《易》説卦(せつか)伝に,天道には陰陽,地道には柔剛,人道には仁義の働きがあるというのがこれである。ここでは仁や義という人間の徳を,陰陽・柔剛という自然の理法に順応するものと考える。すなわち,人間は自然と対立することなく,自然の調和人間界に求めようとするもので,これは中国思想の特徴の一つである。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「三才」の意味・わかりやすい解説

三才
さんさい

天、地、人をいい、また三材(さんざい)、三極(さんきょく)ともいう。宇宙の根源的働きをいい、『周易(しゅうえき)』の「繋辞伝(けいじでん)」から出た中国古代の思想である。一卦(か)の六爻(こう)に、天地人の道が示されているとする。別に水、木、火を三材という。人間生活の根源的素材という意味である。観相(かんそう)学上からは、顔面を額門、準頭(じゅんとう)(鼻)、地閣(顎(あご))の三才とする。また、3人の才能ある人という意味で、それぞれの時代の人物を選ぶこともある。

[安居香山]

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百科事典マイペディア 「三才」の意味・わかりやすい解説

三才【さんさい】

三材とも。古代中国の思想において,世界の三つの重要な働きとしての天・地・人をいう。典拠は《易》説卦伝(天道に陰陽,地道に柔剛,人道に仁義の働きがある)。人間は自然に順応し,その一部として生き,自然の理法に参入すべきだという世界観の基本となる概念。
→関連項目三皇五帝

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「三才」の意味・わかりやすい解説

三才
さんさい
San-cai

中国古代に起った思想の一つの型。三材とも書き,また「三才の道」ともいう。天,地,人をさし,この3つは,それぞれ完結した世界を形成しながら,相対応して同一の原理に支配されているという思想。明確には『荀子』の天論編から始り,『周易』に図式化されて定着している。その後,中国の物の存在,最高原理などを考える際の型となった。転じて宇宙間の万物を三才ともいう。

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占い用語集 「三才」の解説

三才

中国古来からある考え方で、「天・地・人」の三つからなる。この世は、天・地・人の三つの関係で成り立っていると考えられ、天の刻と地の利、そして人の和の三つが揃うことによって、良い働きがあると考える。

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世界大百科事典(旧版)内の三才の言及

【数】より

… 3は誕生,新生,対立する原理の調和,具象,3点を結ぶ三角形で形の始まり,統合の中の成長の芽を表し,力動的な変化の数とされている。キリスト教では三位一体,キリストの生誕を祝福する東方の三博士の参拝などにみられるように聖なる数であり,中国では天・地・人の三才を示す。昔話や伝説には,三つのなぞ,3個の箱,三つの願い,3人の姉妹または兄弟などの主題がよくみられ,呪術的で神秘的なものごとの達成,失敗,転換とかかわる。…

※「三才」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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