三島市(読み)ミシマシ

デジタル大辞泉 「三島市」の意味・読み・例文・類語

みしま‐し【三島市】

三島

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「三島市」の解説

三島市
みしまし

面積:六二・一七平方キロ

太平洋に突き出した伊豆半島の付根部分に位置する。北は裾野市、東は神奈川県箱根はこね町、東から南は田方たがた函南かんなみ町、南は沼津市、西は駿東すんとう清水しみず町・長泉ながいずみ町に接する。北には富士山を頂点とした愛鷹あしたかの連峰がそびえ立ち、東には南北に屏風のように長くそそり立つ箱根の連山、市の南に広がる田方の耕地を挟んで南側には伊豆半島の屋台骨天城あまぎ山脈がはるかにそびえ立っている。市域は地理的に大きく三つの部分に分けることができる。一つは南北に傾斜する黄瀬川きせがわ扇状地、もう一つは箱根西麓の山並に続く台地および扇状地、そして南部に広がる平坦地部分である。箱根西麓を源とする大場だいば川がほぼ北から南へ流れ下り、市の南部で狩野かの川と合流する。市の北部、大場川右岸には河川はないが、扇状地の地下を形成しているといわれる富士溶岩流の中を潜り抜けた水が豊富に湧き出ている。中央部を国道一号が西は清水町、東は箱根町に通じ、中央南寄りをJR東海道本線・同新幹線が通り、西端に三島駅がある。南部を伊豆箱根鉄道、国道一三六号が通る。

〔原始〕

箱根南西麓の旧石器時代遺跡・縄文時代遺跡の数はおそらく県内最大の規模をもち、遺跡の集中する地域として注目されてきた。第二次世界大戦前から千枚原せんまいばら遺跡や奥山おくやま遺跡は縄文時代の中期を中心とした大きな集落跡としてとくに著名であった。

国道一号を市街地からわずかに上ったあたりに東海道の錦田にしきだ一里塚が残されており、周辺には旧石器時代を中心とした初音はつねはら遺跡があった。二万五、六千年前頃と考えられる層準(BBIII層とよんでいる)から掘込まれた上面八〇センチ、深さが一四〇センチほどの土坑が見つかった。それもほぼ等間隔に、国道一号を挟んで弧を描くように十数基発見され、さらにその後の調査で数を増やしている。こうした土坑は初音ヶ原遺跡のみでなく、隣接する何ヵ所かの遺跡(賀茂ノ洞遺跡など)からも同じような状況で発見され、総数では五〇を超えるほどとなった。土坑の使用目的については獣を対象とした落し穴説もあるが、なお慎重な意見もあって結論を出すに至っていない。ほぼ同じ頃の愛鷹山麓や他地域ではこうした土坑は未発見で、使用目的もさることながら、このような土坑がなぜ箱根西麓に集中するのか議論も続いている。縄文時代がもっとも成熟した頃、当地域には比較的大きなムラが残されたり、土偶や釣手土器などとよばれる希少な遺物が多くみられるようになる。

三島市
みしまいち

[現在地名]大三島町宮浦

大山祇おおやまずみ神社の大祭は、古来二月、四月、一一月の三回であったが、四月の大祭日を大市日として三島市が開設されるようになる。その年代は不明であるが、貞享四年(一六八七)には「三嶋宮四月御祭礼為賑、貞享四卯年始て芝居興行被仰付、夫より四月十七日より廿三日まて市立御座候」(大三島新地開発一件書)と、藩では三島市繁栄のため歌舞伎芝居の興行を許可している。松山藩では安永(一七七二―八一)頃から藩財政の窮乏を打開するため、いわゆる「御国潤おくにうるおい」策をたて、その一環として、三島市に対しても積極的な繁栄策を計画し、祭市からあがる入市税・運上銀・場床賃の増収をもくろんだ。これは、松山城下の商人で御用掛三島市場元方となった薬屋五兵衛の意見書に基づくものであるが、さきの歌舞伎芝居のほか、富くじ・盤将会などの興行、新地しんち町の建設、そこへの遊女屋の設置などであった。

富くじが開始されると大変な人気をよび、当時、四月の市日は、貞享頃の七日間が三〇日間に延長されていたが、その間だけでは終了せず、ついに毎月興行されるようになり、安永九年から天明四年(一七八四)には毎月二回興行された。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「三島市」の意味・わかりやすい解説

三島〔市〕
みしま

静岡県東部,伊豆半島基部にある市。 1941年市制。 54年中郷村を編入。中心市街地の三島には,古くは伊豆の国府があり,国府と称したが,南伊豆の白浜 (下田市) にあった三嶋大社をこの地に移してから三島と改称。江戸時代は東海道,箱根八里越えの重要な宿場町,三嶋大社の門前町として繁栄。御殿場経由の東海道本線の開通で一時衰微したが,34年丹那トンネルが完成し回復した。伊豆温泉郷への玄関口。地下水が豊富で化学繊維,ゴム,食品,製紙,乳製品などの工場が進出。楽寿園 (名勝および天然記念物) ,旧官幣大社で伊豆国一の宮の三嶋大社 (国宝の梅蒔絵手箱を所蔵,境内のキンモクセイは天然記念物) ,伊豆国分寺塔跡,錦田一里塚,山中城跡 (いずれも史跡) の名所がある。東海道新幹線,国道1号線が通る。面積 62.02km2。人口 10万7783(2020)。

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