デジタル大辞泉
「三宝荒神」の意味・読み・例文・類語
さんぼう‐こうじん〔‐クワウジン〕【三宝荒神】
1 仏・法・僧の三宝を守護するという神。三面六臂で、怒りの形相を示す。不浄を忌み、火を好むというところから、近世以降、かまどの神として祭る。荒神。
2 鞍の一。馬の背の上と左右に箱または枠をつけ、三人乗れるようにしたもの。また、その乗り方。
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さんぼう‐こうじん ‥クヮウジン【三宝荒神】
[1] 仏・法・僧の三宝を守護し、浄信者を助け、悪人を罰する神。宝冠を戴き、三面六臂
(ろっぴ)で
忿怒(ふんぬ)または
如来の相を表わす。修験道および日蓮宗などでまつる。また、その忿怒の相から、如来荒神・麁乱荒神・忿怒荒神(貪欲神・
障礙神・飢渇神)の
三神と解し、怒るときは一切
衆生の
福徳を奪い、障礙をなす神とし、あるいは、不浄をきらい、火の清浄で不浄を払うのを愛するという俗信から、近世以後、民間では竈
(かまど)の神として台所にまつる。荒神。荒神様。
※宣胤卿記‐文亀四年(1504)正月一日「廿八宿、
宇賀神、三宝荒神、五大龍王〈略〉四大天王以下、氏三社以下、諸神諸仏之法楽、不
レ及
レ記
二巨細
一」
※
浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉
はしがき「お先真闇三宝荒神さまと春のや先生を頼み奉り」
[2] 〘名〙
①
方形の
わく、または箱
三つを馬の背とその左右とにつけ、三人乗りができるようにした鞍
(くら)。また、その乗り方。旅の道中の駄賃馬に用いられた。
※俳諧・当世男(1676)冬「乗行や三方荒神かみの旅〈破扇子〉」
② 一つの
土器(かわらけ)に火を三つともした
灯火。江戸時代、鉱山の穴にはいる時に用いた。
※
随筆・北窓瑣談(1829)後「又三宝荒神といひて、一つ土器に火を三つともし、
火気相接するやうにする事有り」
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出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
世界大百科事典(旧版)内の三宝荒神の言及
【荒神】より
…荒神の信仰は,(1)屋内の火所にまつられ,[火の神],火伏せの神の性格をもつ三宝荒神,(2)屋外にまつられ,屋敷神,同族神,部落神の性格をもつ地荒神,(3)牛馬の守護神としての荒神に大別される。東日本では,火の神としての荒神と作神としてのオカマサマを屋内に併祀する形が多い。…
※「三宝荒神」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」