三国仏法伝通縁起(読み)さんごくぶっぽうでんずうえんぎ

精選版 日本国語大辞典 「三国仏法伝通縁起」の意味・読み・例文・類語

さんごくぶっぽうでんずうえんぎ ‥ブッポフデンヅウエンギ【三国仏法伝通縁起】

仏教通史。三巻。凝然著。応長元年(一三一一成立インド中国日本にわたって仏教諸宗の展開経過を記す。

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デジタル大辞泉 「三国仏法伝通縁起」の意味・読み・例文・類語

さんごくぶっぽうでんずうえんぎ〔サンゴクブツポフデンヅウエンギ〕【三国仏法伝通縁起】

鎌倉時代の仏教書。3巻。凝然ぎょうねん著。応長元年(1311)成立。インド・中国・日本における各宗の伝播でんぱ状況を概説した仏教通史。

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改訂新版 世界大百科事典 「三国仏法伝通縁起」の意味・わかりやすい解説

三国仏法伝通縁起 (さんごくぶっぽうでんづうえんぎ)

3国すなわちインド,中国,日本における仏法伝通に関して述べた仏教史。東大寺凝然の著。3巻。1311年(応長1)7月の成立。上巻天竺(インド)における仏教の発生と進展,震旦(中国)における毘曇(びどん),成実,戒律,三論,涅槃,地論,浄土,禅,摂論(しようろん),天台,華厳,法相,真言の13宗について概観し,中・下巻にわたって日本における三論,法相,華厳,俱舎(くしや),成実,律,天台,真言の8宗について,その流通,法脈などを精記し,下巻の巻末には当時ようやく盛行していた禅宗,浄土宗について略記している。浄土宗に関しては別に《浄土法門源流章》の大著が著作されていたからであろう。29歳のとき著した《八宗綱要》や《律宗瓊鑑章(りつしゆうけいかんしよう)》などとともに,凝然の歴史家としての一斑を示す好著で,今日伝わらぬ史書などが援用されている。巻末には本書を戒壇院で撰述し,後宇多法皇の叡覧に供した奥書がある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「三国仏法伝通縁起」の意味・わかりやすい解説

三国仏法伝通縁起
さんごくぶっぽうでんずうえんぎ

仏教書。3巻。1311年(応長1)成立。著者は凝然(ぎょうねん)。インド、中国、日本の三国における仏教流伝の歴史を概説したもの。後宇多(ごうだ)法皇の要請で著されたが、上巻は天竺(てんじく)(インド)における仏教の成立と発展、震旦(しんたん)(中国)における毘曇(びどん)、成実(じょうじつ)、戒律、三論、涅槃(ねはん)、地論(じろん)、浄土、禅、摂論(しょうろん)、天台、華厳(けごん)、法相(ほっそう)、真言(しんごん)など十三宗の伝播(でんぱ)について述べ、中・下巻は日本における三論、法相、華厳、倶舎(くしゃ)、成実、律、天台、真言の八宗と、禅宗、浄土宗の弘通(ぐつう)について略述している。凝然の著『八宗綱要』とともに初学者の入門書として重要である。

[納冨常天]

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