三人言いて虎を成す(読み)さんにんいいてとらをなす

故事成語を知る辞典 「三人言いて虎を成す」の解説

三人言いて虎を成す

事実でなくても、多くの人がそうだと言えば、事実だと思われるようになることのたとえ。

[使用例] 正直に現実を見るとき、「たとい末法のなか持戒のものあらば、すでにこれ怪異なり。市に虎あらんがごとし。これたれか信ずべきや。」といわざるを得ないであろう[三木清親鸞|1946]

[由来] 「戦国策策」に見える話から。紀元前四世紀ごろ、戦国時代の中国でのこと。魏という国の大臣が、他国へ人質として送られる王子の付き添いとして、都を離れることになりました。出立の前、この大臣は王に向かってこんなことを言います。「もし、だれか一人が『市場(繁華街)に虎が現れた』と言ったら、信じますか?」。王の答えは、もちろんノー。「では、二人が言ったなら?」。答えはやはりノー。「では、三人ならば?」。「信じるかもしれんな」。「市場に虎が現れるなんてあり得ないのに、『三人言いて虎を成す(三人がそう言えば、本当に虎が現れたような気になるものです)』。これから私が出かける先は市場よりはるか遠くですが、不在の間に、私のことを悪く言う者は三人どころではないでしょう。王よ、よくよくお考えください」。こうまで言ったにもかかわらず、帰国した後、この大臣は王に会うことさえできなかったということです。

異形〕三人虎を成す/三人を成す/市に虎あり。

出典 故事成語を知る辞典故事成語を知る辞典について 情報