万緑(読み)ばんりょく

精選版 日本国語大辞典 「万緑」の意味・読み・例文・類語

ばん‐りょく【万緑】

〘名〙 見渡す限り緑色であること。一面に緑であること。《季・夏》
※火の島(1939)〈中村草田男〉「万緑の中や吾子の歯生え初むる」 〔姜‐驀山渓詞〕

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デジタル大辞泉 「万緑」の意味・読み・例文・類語

ばん‐りょく【万緑】

草木が見渡すかぎり緑であること。 夏》「―の中や吾子の歯生え初むる/草田男
[補説]書名別項。→万緑
[類語]青葉翠色すいしょく青翠せいすい新緑若葉木の葉枝葉草葉葉っぱ押し葉葉身葉脈葉柄葉末托葉単葉複葉葉序双葉若緑紅葉こうよう紅葉もみじ黄葉照り葉落ち葉落葉枯れ葉朽ち葉病葉わくらば松葉

ばんりょく【万緑】[書名]

日本俳句雑誌。昭和21年(1946)10月創刊主宰中村草田男。昭和58年(1983)に草田男が亡くなった後は運営委員会により発行が継続されたのち、平成29年(2017)廃刊同人に、香西照雄、北野民夫など。

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改訂新版 世界大百科事典 「万緑」の意味・わかりやすい解説

万緑 (ばんりょく)

俳句雑誌。中村草田男主宰。1946年10月創刊。誌名は草田男の句〈万緑の中や吾子の歯生え初むる〉にちなむ。戦前の〈ホトトギス俳句〉や〈新興俳句〉に反省を加えた草田男は,俳句の伝統や特殊性を〈芸〉,時代の人としての作者実存や現代文学一般の問題を〈文学〉として把握,両者をともに生かす俳句を《万緑》で追求している。方法的には象徴的表現が目指されており,香西(こうざい)照雄,北野民夫,竹中宏らが活躍。
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普及版 字通 「万緑」の読み・字形・画数・意味

【万緑】ばんりよく

緑だらけ。〔書言故事花木紅一点〕王(安石)の石榴詩、叢中、紅一點 人を動かすの春色、多きを須(もち)ひず

字通「万」の項目を見る

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「万緑」の意味・わかりやすい解説

万緑
ばんりょく

俳句結社誌。1946年(昭和21)10月、中村草田男(くさたお)が創刊、主宰した。その強い個性と思想性が浸透、草田男色の濃厚な、人間性探求の有力俳誌。写生を基本態度とし、季題を守りながら、現代に生きる人間としての内的・思想的欲求の句的燃焼を志す。同人香西照雄(こうざいてるお)が編集・運営の中心となり、余寧(よね)金之助、北野民夫(たみお)、成田千空(せんくう)、磯貝碧蹄館(いそがいへきていかん)、貞弘衛(さだひろまもる)らが同人として活躍。草田男信奉者の結束強固な雑誌である。1983年8月5日草田男が死去してからは運営は運営委員会が、雑詠選者は照雄があたった。以後、発行は継続され、2000年(平成12)6月号で605号を数える。現在の雑詠選者は成田千空があたっている。

[平井照敏]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「万緑」の意味・わかりやすい解説

万緑
ばんりょく

俳句雑誌。 1946年 10月創刊。中村草田男が主宰し,香西照雄,成田千空,北野民夫らが有力同人。季語と定型を守る『ホトトギス』の衛星誌の一つであるが,草田男の句風を反映して人間性の根源を追究する人生派的態度が特色。誌名は草田男の「万緑の中や吾子の歯生え初むる」による。

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